ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER

トルコ系ドイツ人のギュンドガン。
自国サポのブーイングと“寛容性”。 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2018/06/15 10:30

トルコ系ドイツ人のギュンドガン。自国サポのブーイングと“寛容性”。<Number Web> photograph by Getty Images

思わぬ形でブーイングを受けたギュンドガン(右)。エジルとともにドイツ連覇へのキーマンであることは間違いないが……。

「マンシャフト」の歩みは順調そのもの。

 さて、そのドイツ代表は2014年のブラジルワールドカップで見事優勝を飾り、今回はディフェンディングチャンピオンとして連覇を狙います。

 ドイツ代表にも日本代表の「サムライブルー」と同じく愛称があり、「マンシャフト(Mannschaft)」と呼んでいます。マンシャフトとはチーム、集団という意味なのですが、そんな単純明快な言葉で表現するところに、ドイツ国民のサッカードイツ代表への愛着が感じられます。

 ブラジルでの栄冠から4年、ドイツ代表の歩みは順調そのものでした。2006年のドイツワールドカップ後にユルゲン・クリンスマン監督が退任して、後を引き継いだヨアヒム・レーブ体制となって現在13年目。2016年のUEFA欧州選手権では準決勝でフランス代表に敗れたものの、最新のFIFAランキングでも2位のブラジル代表を抑えて、堂々の首位に君臨しています。

サウジ戦でギュンドガンに対して……。

 順風満帆のはずのドイツ代表。ところが、本大会直前になって不安が募り始めています。

 欧州予選は順調に首位通過しましたが、その後の親善試合では、イングランド、フランス、スペインを相手に3試合連続で引き分け。その後、前回大会で大勝したブラジルに敗れ、さらにはオーストリアに32年ぶりに敗戦して5戦未勝利となったのです。

 大会前に不振のチームが本番では力を発揮するケースは多々あるため、それほど深刻に捉える必要もないのですが、ファンやサポーターからすれば、やはり心配ですよね。

 本大会前最後の親善試合、サウジアラビア戦は2-1。6戦ぶりに勝利を挙げてようやく戦闘態勢を整えたのですが、そのサウジアラビア戦で新たな問題に直面してしまいました。ある理由から、トルコ系ドイツ人であるMFイルカイ・ギュンドガンに自国サポーターが痛烈なブーイングを浴びせたのです。

 ドイツ国内には多種多様な人種、国籍の方々がいます。現在、ドイツ政府から滞在許可を得て当地に住居を構えている日本人の僕もその一人です。ドイツは第二次世界大戦後の復興から1970年代の経済発展を経て、近年は少子高齢化や人口減少などの問題に直面し、労働力の確保を名目に積極的な移民受け入れの政策を採ってきました。他国に比べて滞在許可条件が寛容なため、就業機会を求めてドイツへ向かう方々が増加したのは、そうした背景があるからです。

【次ページ】 多人種の中でも特に多いトルコ移民。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT

この記事にコメントする

利用規約を遵守の上、ご投稿ください。

イルカイ・ギュンドガン
メスト・エジル
ロシアW杯
ワールドカップ

海外サッカーの前後のコラム

ページトップ