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トルコ系ドイツ人のギュンドガン。
自国サポのブーイングと“寛容性”。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/06/15 10:30
思わぬ形でブーイングを受けたギュンドガン(右)。エジルとともにドイツ連覇へのキーマンであることは間違いないが……。
「僕は常に批判に対してオープン」
ギュンドガンは今回の件に関して「決して政治的なスタンスを示すものではなかった」と語っています。ブーイングを受けたことについては「相手ファンのブーイングは、よくあること。でも自分たちのファンからブーイングをされたら、やり過ごすのは難しい」と語った上で、こう述べています。
「僕は常に批判に対してオープン。みんなそれぞれに意見があるし、それが僕たちに言論の自由がある理由でもある。僕はドイツで生まれ育ったことを光栄に感じている。でも、侮辱はされたくない。今の僕にとって話すことは重要。早く普通な状態を取り戻したい」
ワールドカップは、4年に一度の祭典です。純粋な気持ちで、心地良く、常に感情的な思いを抱きたい。それでも今回のように、様々な思惑が積み重なり、サッカーという競技とは別のベクトルへ話題が移り変わってしまうこともあります。
そんなことを考えていると、ドイツ人の友だちからメールが来ました。
「早くフランクフルトに帰ってこいよ。ヘレス(明るい金色のピルスナービール)でも飲みながらワールドカップを観ようぜ。仕方がないから、日本のことも応援してやるよ」
ドイツと日本が決勝トーナメントで雌雄を決する可能性なんて微塵も感じていない友人の鼻を明かしたい――。おっ、なんだか、僕の中でワールドカップへのモチベーションが高まってきました。
それぞれが他者を尊重して、この“お祭り”を心底楽しみたい。今は純粋に、心から、そう思います。