ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
日本ゴルフのプロアマは超厚待遇?
勝負とおもてなしの妥協点はどこか。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2018/06/25 08:00
片山晋呉の対応に落ち度があったことは間違いない。そのうえで、プロアマの形式については再検討の余地もあるのではないだろうか。
試合のパフォーマンスをある程度犠牲にしても。
さらに、プロにゲストとの会話を促すため、選手のマネージャーやコンディションに目を光らせるトレーナー、クラブのチューニングをするメーカー担当者といった側近の関係者が、プロアマのラウンドに帯同することを禁止した。これも海外ツアーから見れば画期的だ。
ラウンドの後には、ほとんどのケースで参加した全選手とゲストが食事をともにするパーティがある。欧米、アジアでは、プロは出席しても成績上位者だけということが多い。
列挙した通り、日本の男子ツアーは近年、プロアマに参加するゲストの顧客満足度アップのために様々な策を講じてきた。本来は一番のファンサービスであるはずの、翌日に始まる本戦でのパフォーマンスをある程度、犠牲にしてでも……という徹底ぶりである。
日本のプロゴルファーは大変な仕事だ。
ただ今回の一件は、いくら外堀を埋めようとも、商品の根幹である選手個々の意識、もてなしの手腕に勝るものはないことを顕在化させた。
それでも今後、日本ではさらなる“制度の引き締め”による対応の流れが加速するだろうか。
男子ツアーは21世紀を迎えて間もなくから、試合数や観客動員数で女子ツアーに劣り、スポンサー確保に躍起になっている。すべてにおいて対等で良好な関係を築いてきたとは言い難い。もとをただすと、旧体制のツケがまさに脂ののった若い世代に回ってきているようにも見えるが、それが現状だ。
選手が追求すべき「プロゴルファーたるもの」、周囲が期待する「プロゴルファーに求めるもの」とは何か――。それは立場だけでなく、場所や時代によっても違う。少なくとも現状の日本と海外とでは開きがある。
いま、日本の男子ツアーの選手に求められている「プロゴルファー像」は、お茶の間が思うそれよりも、いや生業を同じにする外国のプロが想像するものよりも、はるかに広範囲化しているかもしれない。
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