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日本ゴルフのプロアマは超厚待遇?
勝負とおもてなしの妥協点はどこか。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2018/06/25 08:00

日本ゴルフのプロアマは超厚待遇?勝負とおもてなしの妥協点はどこか。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

片山晋呉の対応に落ち度があったことは間違いない。そのうえで、プロアマの形式については再検討の余地もあるのではないだろうか。

日本のプロアマは、実はアメリカと大きく違う。

 法を犯したわけでもない。一般的には馴染みがないプロアマ戦でのマナーが問題になったスキャンダルだが、今回の一件はお茶の間が想像する以上に、ツアーにとっては手痛い出来事である。

 人気低迷に苦しむ日本男子ツアーは近年、石川遼が選手会長に就任する以前から、プロアマ戦のサービス向上に取り組んできた。それはもう世界的に見れば、それはそれは異例尽くしの手法も交えて、である。

 海外ツアーのプロアマの施策と異なる事例をいくつか挙げる。

 日本の男子ツアーでは、体調不良やけがでプロアマ戦を棄権、欠場した場合は本戦に出場できないペナルティがある(女子は1球でも打てばOK)。日本ツアーでは男女ともに、体調不良やけがでプロアマ戦を棄権、欠場した場合は本戦に出場できないペナルティがある。それゆえ試合に出るために、苦痛を顔に浮かべながら18ホールを完走する選手を年に何度かは目にする。

 諸外国からすれば異例のルールで、今年1月の米ツアー・ファーマーズインシュアランスオープンでは、腰痛のためプロアマ戦を欠場したジェイソン・デイが本戦で優勝しファンを喜ばせた。

試合と違うセッティングで回る。

 青木功がJGTO会長に就任した2016年からは、男子プロがアマチュアと同じティグラウンドからプレーする決まりができた。

 同じコースを回るとはいえ、男子プロが試合で18ホール計7000ヤード超の距離で競うのに対し、アマチュアは6000ヤード超が一般的。以前は日本でも、米国、欧州、アジアンツアーなどと同様に、男子プロが各ホールで試合用のティから第1打を放った後、数十ヤード先のティグラウンドから打つアマチュアに合流していた。

 離れたティグラウンドから打つことで、その間にプロとアマのコミュニケーションの機会が失われるという理由、ゲストに男子プロのパワーを実感してもらいたいという目論見から、手法を変えた。

 そもそもプロとアマの飛距離に大きな差がない女子ツアーのプロアマに倣ったものである。これにより、男子プロは開幕前日のパー3などでは、試合では絶対に握らないような短いクラブでティショットをすることになった(ちなみに、この方式はさらに前のティからプレーする女性ゲストには関係のないことなのだが)。

【次ページ】 試合のパフォーマンスをある程度犠牲にしても。

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