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NBAファイナルはアッサリと終了。
異次元だったKD、レブロンの握手。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2018/06/12 17:30
レブロン・ジェームズは孤軍奮闘でチームを支え続けたが、ウォリアーズから1勝をもぎ取ることはできなかった。
ウォリアーズを苦しめたロケッツ。
正直、ファイナルよりも、ウェスタン・カンファレンス決勝、ウォリアーズとヒューストン・ロケッツのシリーズは大層面白かった。
ロケッツはホームコート・アドバンテージを持ち、3勝3敗で迎えた第7戦をホームで戦うことが出来た。ウォリアーズに引導を渡すチャンスだったのだが……。
しかも前半は描いたシナリオがうまくハマり、54-43とリード。ところが、後半に入ってシュートタッチが壊滅的になった。後半の得点は38点にとどまり、千載一遇のチャンスを逃してしまった。
かえすがえすも残念なのは、司令塔のクリス・ポールを第6戦、第7戦とケガで欠いてしまったこと。
ポールはウェイク・フォレスト大学時代からリーダーシップ抜群で、「こういう人がいるチームが勝つんだろうな」とずっと思っていた。実際、ポールがいたならば、第7戦の展開もまったく違っていたことだろう。
でも、肝心な時にケガをしてしまう。
こういう選手の評価は難しい。
ポールもFAになる。果たして、ロケッツは33歳の彼に大枚をはたく勇気があるだろうか?
JR・スミス、落ち込むなよ。
ファイナルの第1戦、キャブスには勝つチャンスがあった。残り4秒で同点。キャブスのジョージ・ヒルがフリースローを決めれば逆転となり、ファイナルが俄然、盛り上がったことだろう。
ところがヒルはフリースローを外し、そのリバウンドをキャブスのJR・スミスが取った。大チャンスだ! ブザービーターを決めればファイナルの流れが大きく変わっただろう。
ところが……。スミスは勝っていると勘違いして、ハーフコート付近にドリブルで撤退。時間を稼ぎ、ファウルをもらおうとした。同点と気づき、パスを出したのは2秒ほど経ってからだったか。時すでに遅し、キャブスはチャンスを逃した。
申し訳ないけれど、これだけの珍プレーは滅多にお目にかかれない。
1993年、NCAAファイナルのノースカロライナ大とミシガン大の試合で、ミシガンのクリス・ウェバーが持っていないタイムアウトを取ってしまい、それが直接的な敗因になってしまったことがあったが、それクラスのボーンヘッドだった。
第2戦、ウォリアーズのファンから拍手で迎えられたスミス。
これが、いかにもアメリカらしいスタイルでした。
さて、レブロンやポールの動向がきになるオフ。来季の開幕を待たずとも、NBAは話題満載なのである。