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田澤純一に3度目の復活はあるか。
MLB復帰への執念と「田澤ルール」。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/06/09 17:00
力強いストレートでレッドソックスのリリーフ陣を支えた田澤純一。まだまだ老け込む年齢ではない。
奪三振率が過去最高の数値という希望。
希望は、ある。
たとえば田澤の今季の9イニング換算の奪三振率は、過去最高クラスの10.8個を記録している。それを「登板が少ないからだ」と指摘するなら、それはその通りだ。
今季わずか20イニングで24奪三振という少ないサンプルを、たとえば2013年に田澤が記録した68.1回で72奪三振(9イニング換算で9.5個)、2014年の63.0回で64奪三振(同9.1個)と同一線上で語ることはできない。
だが田澤は今季序盤、10.2回で13奪三振(同11.0個)、それ以降の不調時でも9.1回で11奪三振(10.6個)と高水準を保っている(Baseball-Reference.comより)。
空振りのストライク率が好調時の12%から不調時には6%まで激減していることを考えれば、田澤には「今でも追い込めば、三振を奪う技術がある」と言える。
さらに今季のストライク率も好調時65%、不調時62%、見逃しストライク率が好調時18%、不調時16%とそう変わらず、レッドソックスでワールドシリーズ優勝を果たした2013年のストライク率68%、見逃しストライク率16%と同じ水準を保っている。
その頃の空振りストライク率は12.3%と好調時と同程度であり、その水準に近づくことは、田澤がメジャー復帰を目指す上で重要な鍵を握っているのではないか。
田澤は当面、タイガースのキャンプ施設があるフロリダ州レイクランドで調整し、準備が出来次第、傘下のマイナーリーグ球団のユニフォームを着ることになる。
現在地を考えれば、メジャーリーグに復帰することも、メジャーリーグで活躍するのも簡単なことではない。しかし、たとえその行方に激しい雨が降っていようが、強い風が吹きつけていようが、己を信じて進むしかない。ただ直向きに、田澤純一がJunichi Tazawaであるために――。