福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
3バックはオプション、ボランチは?
福西崇史が強く推すのは大島僚太。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAsami Enomoto
posted2018/06/04 17:00
福西崇史氏が期待を寄せる大島僚太。ボールを奪って素早くパスをさばける能力で、日本の新たな中盤の軸となるか。
大島は攻守ともにコントロールできる。
特に大島に関しては、守備力も成長していて適任だと思います。積極的にボールを奪いに行けるし、ゲームメーカーとして周りを支えるところも非常に伸びています。ガーナ戦でも彼のパスを起点に形を何度か作ってましたよね。Jリーグでの活躍を見ればわかる通り、攻守両方で中盤をコントロールできる存在になりつつあります。
ハリルホジッチ前監督からも期待されていた大島ですが、これまでの代表戦ではその潜在能力を完全に出し切っていない。積極的にボールを取りにいくなかで、そこでまだ自分の感覚と相手との体格差でズレがあったのか、負傷交代が続いたこともありました。奪いに行くところと行かないところの判断を整理する必要性がありますが、コンディションに問題ないことを証明しました。
これまでの積み重ねを生かせれば、このW杯が大きな飛躍のきっかけになる。それくらい個人的には大島の実力を買っています。
もう1人の出し手となれる柴崎ですが、所属しているヘタフェではポジションが色々と変わっていた。ボランチ、トップ下、サイドでプレーできるのは強みですが、守備よりも攻撃で力を発揮するタイプ。使うとなれば攻めに打って出る状況になるでしょう。
「大島・柴崎」コンビの使いどころは?
日本の選択肢の中で最も攻撃的なダブルボランチは「大島・柴崎」の並びで、実際にガーナ戦の後半でもその形を試しました。ただ使いどころとしたら……2点差をつけられるなど、得点を取りに行かなければいけない状況、もしくは押されっぱなしの状況を打開するため、攻撃に活路を見出したい時でしょうか。
もし柴崎と大島を並べるなら、遠藤もしくは長谷部をアンカーで使うオプションもあり得る。アンカーの守備面の負担は高まりますが、そこが頑張ってくれれば、柴崎と大島に少しゲームを作らせられる。システムで言うならワンアンカーの4-3-3、もしくは4-3-1-2の形ですね。
ただ、先ほども言った通り準備期間は少ないですから、オプションを増やしすぎても、ベースが成熟しない。なので最適な形を見つけて、ある程度固定したいところ。また大島と柴崎、遠藤にとっては初めてのW杯です。彼らがどれだけ臆さず戦えるかは重要。その辺りはW杯での経験がある長谷部と山口が上手くバランスを取ってほしいところです。
残された強化試合はスイス戦とパラグアイ戦。大島らのプレーぶりに期待したいです。
(構成:茂野聡士)