プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平は日々アメリカを学習中!
「打たれても打たれなくても経験」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAP/AFLO
posted2018/05/31 17:30
イニングの間、投球フォームを気にしながら特製のボールでストレッチ。新しい練習法も次々と試している大谷翔平。
「試合のレベルで投げないとわからない部分が」
「いくつか要因はあると思います」
試合後の大谷は振り返った。
「(試合前の)作りから初回の入りで、自分が思っている以上にあまり体を動かせていなかったんじゃないかとも思う。基本的には試合のレベルで投げないとわからない部分が結構あるので、初回に投げてみると、投げ心地もあまりよくないですし、自分が思ったように動けていないなあと思うこともあった」
中9日と間隔が空いたことも理由だっただろう。
さらにデトロイトの本拠地、コメリカ・パークのマウンドの影響も、投げ心地の悪さにつながる1つの要因だったかもしれない。
「ステップ幅はいつもすごく気にしている」
開幕直後に大谷が語っていたことだ。
ヒールダウン打法と投球フォームの調整と。
実はメジャー仕様のマウンド対策として、キャンプの時から踏み出す左足の歩幅を日本時代より少し短く修正した。
メジャーのマウンドは日本と比べて土が硬いためスパイクの歯が入りづらく、一気に前に体重を乗せていけない。その分だけ歩幅を短くすることで、上から抑え込んで投げられるように工夫しているわけだ。
バッティングでも日本時代の大きく足を上げるフォームからメジャーの投手のタイミングに合わせるために、「一部を省略した」ヒールダウン打法へと修正したのと同じマイナーチェンジである。
ただ、対策を練っても球場によって微妙にマウンドの土質や硬さ、傾斜の角度が違い、それが投球にも影響を及ぼす。
一般的に西海岸と東海岸の球場を比べると、西海岸の土の方が粘土質だと言われる。粘り気があり日本のマウンドに近く、スパイクの入りもいい。それに比べて東の球場は土質が硬く、よりメジャー的なマウンドが多いのだ。踏み出した足に体重が乗りにくく、慣れないとなかなかボールを制御するのが難しくなる。
大谷の過去7度の先発は本拠地のエンゼル・スタジアムが4回で、残る3回は南部のミニッツメイド・パーク(ヒューストン)と同じ西海岸のセーフコ・フィールド(シアトル)だった。東部の球場のマウンドに立つのは、これが初めての経験でもあったのだ。