プロ野球亭日乗BACK NUMBER
大谷翔平は日々アメリカを学習中!
「打たれても打たれなくても経験」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAP/AFLO
posted2018/05/31 17:30
イニングの間、投球フォームを気にしながら特製のボールでストレッチ。新しい練習法も次々と試している大谷翔平。
ピンチの場面で最速のストレートを投げ込んだ!
今シーズン絶好調のジェイマー・キャンデラリオ内野手にスプリットとスライダーでカウント2ボール1ストライクとすると、4球目にまず160キロの速球でファウルを奪うと、最後はメジャー自己最速の163キロ、力でねじ伏せたピッチャーゴロに打ち取り、ピンチを脱出したのである。
「あの場面は真っ直ぐしかないのかなあというか、フォークも打たれていましたし、浮いていた。どれも良くない中で最終的に真っ直ぐが確率がいいかなと思った。特に球速うんぬんじゃなくて、しっかり投げ切れればいいんじゃないかと思っていました」
日本では165キロの日本記録を持つ大谷だが、163キロは4月24日のヒューストン・アストロズ戦で記録して以来、メジャー2度目。ピンチで文字通り最速のストレートを投げ込んだことになる。
結局、この後6回のエンゼルスの攻撃中に再び雨が激しくなって試合は2度目の中断。再度の調整の負担を考慮されて、この日のマウンドは5回で終了し、勝ち星もお預けとなってしまった。
いつもの大谷らしくない投球内容。
「初回から苦しかった」
本人がこう振り返ったように、決して好調な立ち上がりではなかった。いやむしろ、いつも以上に苦労した初回だった。
先頭のマーティン外野手への初球は153キロのフォーシームでボールになる。そこから真っ直ぐを立て続けに投げたが2球目の147キロは抜け、3球目の148キロは引っかかった。初回に投げたフォーシーム12球のうち、150キロを超えたのは4球。いきなり150キロ台を連発してきたこれまでとは違っていた。
しかも逆球や抜け球、そして抜け球を嫌った分だけ引っかけるなど、大谷の意思とは違ったボールが続いていた。
結局、この先頭打者を歩かせ盗塁で2死二塁とされると、5番のニコ・グッドラム内野手に151キロの速球を中前に運ばれて先取点を許した。