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植田直通、身体能力任せからの脱却。
傾けるようになった耳とガラガラ声。 

text by

池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/05/31 07:30

植田直通、身体能力任せからの脱却。傾けるようになった耳とガラガラ声。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

植田直通のこれまでのパフォーマンスが「身体能力だけ」だとしたら、頭を使った彼はどれほどのDFになるのだろう。

「身体能力だけでは限界がある」

 プロ5年目の2017シーズンは自身最多31試合に出場した。今季はリーグ戦14試合を終えてすべてフル出場とチーム最多の数字だ。試合に出られず悔しい思いもした。狙ったプレーがうまくいって喜びもした。たくさんの経験が、成長の糧となっている。

「できないこと、思い通りにならないこともたくさんあったけど、最終的には勉強になった。センターバックは、失点にからんで失敗してこそ、どんどん成長していくもの。いろいろな経験をしたからこそ、今があると思っています」

 そんな成長の1つが、恵まれた身体能力に頼らないDFとしての“技術”で勝負することだった。

「今までは身体能力だけでサッカーをやってきた。それでは限界がある。その中で、声を出して人を動かしたり、そういった技術が身につけば、もっともっといい選手になれると思ったんです。そもそも1人では守れないですからね」

 気持ちの変化は、行動の変化を生んだ。加入当初、「ナオは全然、しゃべらへん」(昌子)と言われていた男は、大声で味方を動かし、鼓舞し、試合後の取材エリアにガラガラ声で現れるようになった。

 31日、ロシアW杯を戦う日本代表メンバーが発表される。W杯が、手の届く位置にある。

「生き残らないといけない。強くそう思っています。自分の周りには、自分のプレーを見て喜んでくれる人がたくさんいる。2016年の熊本地震のとき、それを本当に実感しました。試合に出て、活躍する姿を見せたいと思います」

 さらに大きな自分になるために。強い決意とともに、対人の強さに加え“読みで相手の攻撃を遮断する”という新たな武器を手に、植田は最後の競争に勝って、ロシアへ乗り込むつもりだ。

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