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ガーナ戦に収穫を求めるとすれば。
守備面では2トップに可能性あり。
posted2018/05/31 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
これが半年前なら、まったく別の評価ができただろう。半年前ではなく3カ月前でも、異なる角度からの分析が成り立つはずである。
しかし、我々にはもう時間がない。
5月30日のガーナ戦から明けて19日後に、日本はロシアW杯の第1戦を迎える。雨が打ちつける日産スタジアムを舞台とした一戦は、単なるテストマッチではなかった。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の指揮下も含めれば──国内組だけで戦ったE-1選手権を除くと──昨年11月のブラジル戦からこれで1分4敗である。W杯へ弾みをつけることができず、自信回復の手がかりをつかむこともできなかったという意味で、0-2という結果はチームに重くのしかかる。試合後にブーイングが飛び交ったのも当然だろう。
今月21日からの合宿で、西野朗監督は3バックのトレーニングを積み重ねてきた。果たしてガーナ戦では、3-4-2-1のシステムが採用された。所属するフランクフルトでリベロを務める長谷部誠が最終ラインへ下がり、槙野智章、吉田麻也と3バックを形成した。
「この形で、とは考えていない」
前監督がまったく手をつけなかった3バックを持ち出したことに、西野監督が自らのカラーを打ち出したとか、W杯でも3バックがファーストチョイスになるのでは、といった見方があるかもしれない。
実際は、違う。
「これからこの形で、とは考えていない。(日本代表は3バックを)これまでまったくやっていなかったので、いまこういうトライをしておこうと。W杯では色々な局面に対応したいので、ここでやっておきたかった」
試合後の西野監督は、3バックを戦術の軸足に置くことを明確に否定した。あくまでもオプションのひとつという位置づけである。
それでは、3バックはW杯でオプションと成り得るのか。
可能性は感じさせた、と言っていい。