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アーモンドアイの一強とは限らない。
オークスに甦る「名牝時代」の記憶。 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2018/05/19 08:00

アーモンドアイの一強とは限らない。オークスに甦る「名牝時代」の記憶。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

圧倒的な評価とともにオークスに挑むアーモンドアイ。三冠も視野に入っているが、まずはここを勝つことだ。

ウオッカの楽勝で格付けは終わったかに見えたが。

 ダイワスカーレットがじわっとハナに立ち、マイペースで逃げた。鞍上の安藤勝己が手綱をがちっと抑えたまま4コーナーを回り、直線へ。外からウオッカが、これも持ったままの手応えで伸びてきて、スカーレットに並びかけてきた。安藤は、ウオッカが来るのを待ってから追い出した。

 しかし、2頭が完全に馬体を併せる格好になったのは、ほんの数秒だった。すぐにウオッカがスカーレットより体半分ほど前に出た。スカーレットは左ステッキで叩かれ、激しく追われて食い下がる。

 しかし、ウオッカはノーステッキながら抜かせず、リードを保ったまま首差でゴール。3着を6馬身ちぎってのマッチレースは、着差こそわずかだったが、ウオッカの楽勝に終わった。

 これでこの年の3歳牝馬戦線はウオッカの一強という見方が支配的になった。ウオッカ、ダイワスカーレット、アストンマーチャンの三強という見方もされたが、それでもウオッカの女王の座は揺るぎないものに思われた。

桜花賞から2頭の本当の戦いが始まった。

 桜花賞ではウオッカが単勝1.4倍の1番人気。アストンマーチャンが5.2倍の2番人気。ダイワスカーレットは5.9倍の3番人気だった。

 多くの人がウオッカの圧勝を予想したからこういう支持になったわけだが、しかし、ここでスカーレットが真の強さを見せる。

 直線入口、3番手につけていたスカーレットの外からウオッカが迫ってきた。チューリップ賞の再現かと思われたが、スカーレットはそこから馬体を並べさせず、1馬身半突き放してフィニッシュ。前走の雪辱を果たし、桜の女王となった。

 初対決を制したアーモンドアイをウオッカに置き換えるなら、ラッキーライラックは、ダイワスカーレットのように、直接対決の2戦目で逆転するかもしれない。

 ウオッカとスカーレットが対決を始めたころ、「今年の3歳牝馬はレベルが高い」と言われていた。レコードで決着した阪神ジュベナイルや、そのほかのレースでも33秒台の末脚で上がる牝馬が多いなど、絶対的な速さが裏付けになっていた。

 ウオッカは4歳になった2008年、安田記念を勝ち、天皇賞・秋では「歴史的名勝負」と言われたスカーレットとのハナ差の激闘を制した。

【次ページ】 先に抜け出したライラックに、外から……。

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