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アーモンドアイの一強とは限らない。
オークスに甦る「名牝時代」の記憶。
posted2018/05/19 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
今年の3歳牝馬戦線は、桜花賞馬アーモンドアイの「一強」なのか。それとも、昨年の2歳女王ラッキーライラックとの「二強」なのか。第79回オークス(5月20日、東京芝2400m、3歳牝馬GI)で、答えが明らかになる。
桜花賞でアーモンドアイ(父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)が見せた強さは圧倒的だった。
直線に向いても、まだ先頭から大きく離れた後方2番手。そこから矢のように伸び、ゴール前で並ぶ間もなくラッキーライラックをかわした。ノーステッキで2着のラッキーライラックにつけた1馬身3/4という着差は決定的なものに思われた。
ラスト3ハロンはメンバー最速の33秒2。2番目に速かった馬より1秒も速かった。
その飛び抜け方や、最後の数完歩は流すようにしながら突き抜けた走り、そして主戦騎手の言葉などは、歴代の名牝よりむしろ、牡の史上最強馬ディープインパクトを彷彿させるものだった。
ディープ、アパパネといった名馬との比較。
主戦のクリストフ・ルメールは桜花賞直後に「トリプルクラウン(三冠)を狙える」とコメントし、今週の追い切り後には「残り300mからずっと加速するのは珍しい。特別な牝馬だと思う。オークスを勝つ自信があります」と話している。
「ずっと加速する」というのは、武豊がディープインパクトを「この馬は瞬発力がつづく」と評したことに通じる表現だ。
また国枝調教師は、自身が管理した2010年の三冠牝馬アパパネと比較する質問を受けても、「比べるのはまだ早い」といったニュアンスではなく、普通に応じている。
アパパネは母、アーモンドアイは父が短距離で良績を残した馬だったことに関しては「アーモンドアイの母フサイチパンドラは長いところもこなしているし、気持ちに余裕があるので、(オークスの)距離は問題ないと思う。アパパネのときも何とかなると思っていたのですが、同じぐらいの感じですね」と淡々と話す。