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データで見えた錦織圭の完全復活!
鬼の勝負強さでマスターズ準優勝。
posted2018/05/07 16:30
text by
今田望未Nozomi Imada
photograph by
Getty Images
大坂なおみのインディアンウェルズ優勝、女子国別対抗戦フェドカップはワールドグループ2部昇格。さらに男子ダブルスではマクラクラン勉(ベン)の活躍など、ここのところ日本テニス界全体に明るいニュースが続いている。
しかし、そこには長らく日本のテニスを引っ張ってきた主役、錦織圭の名前がなかった。
だからこそ先日の錦織のモンテカルロ・マスターズ準優勝は、そんなもやもやを一掃する大活躍だったのではないだろうか。テニスファンには、想像より早すぎる完全復活への驚きと喜びと安堵、様々な感情が入り混じって迎えられたはずだ(うれしいことに、クレーコートからはダニエル太郎のツアー初優勝という吉報が続いた)。
BIG4を上回る最終セットの勝負強さ。
錦織圭というアスリートを語る上で、まず始めに出てくる要素が「ファイナルセットの鬼」とも称される勝負強さだ。ご存知のとおり、ファイナルセットの勝率は歴代1位。あのボルグやマッケンロー、BIG4を上回っている。
だが、成績不振となった2017年シーズンはファイナルセットで12勝5敗(70.6%)。一見いいように見えるが、75%以上の勝率を誇っていた錦織からすると低い数字だ。そして実際、今年2月にツアー復帰すると、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)とデニス・シャポバロフ(カナダ)に続けてファイナルセットで敗れ、ついに勝率歴代1位の座をノバク・ジョコビッチ(セルビア)に明け渡すことになった。
だが、モンテカルロでの錦織には、テニスの内容に加えて、この勝負強さが戻ってきた。勝った5試合中、ファイナルセット勝ちは4試合だった。
1回戦のトマーシュ・ベルディフ(チェコ)は、6年前に同じ大会で敗れた相手。ツアーファイナルズで直接対決したこともある実力者だ。対戦成績こそリードしているものの、錦織の初戦敗退を予想する人も少なくなかった。
この試合ではベルディフの中盤以降の落ち込みを見逃さず、錦織が総合的に勝ち切った。復帰以降に勝った相手の中では最高ランク。期待も高まった。