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ケンブリッジ飛鳥のアリゾナ修行。
新フォームで織田記念に帰ってくる。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/04/28 07:00
アリゾナの地で、ケンブリッジ飛鳥は頼もしい仲間たちに囲まれている。ハイレベルのライバルが成長を加速させていく。
世界陸上のリレー決勝には出られず。
リオ五輪では思うような走りができず準決勝敗退したため、ロンドンではそのリベンジをと意気込んだが、準決勝で再びスタートで遅れをとり、10秒25の組6位。決勝の壁は厚かった。
気持ちを切り替えて臨んだ400mリレー予選ではアンカーを担当。ライバルの米国、英国に次ぐ3位での決勝進出に貢献した。
決勝へ、心身ともに準備はできていた。しかし決勝のメンバーにケンブリッジの名前はなかった。
決勝レースはチームメイトとスタンドから見守った。銅メダル獲得に沸くチームメイトを讃えつつも、悔しさが残った。
アリゾナで、フォームを細かく直された。
アリゾナ州は秋でも日中は25度を上回り、短距離には最適の練習環境。自分よりも自己ベストが速い選手たちとの練習は刺激的だった。
最初に直されたのは、基礎のドリル。
「フォームを細かく直されて、最初の数週間は筋肉痛になったくらいです」と笑う。
ケンブリッジの走りは非常に感覚的なため、安定感に欠けるきらいがあった。ドリルのゆっくりした動作のなかで、コーチ陣から足の着き方、足を上げた時の安定感などを徹底的に指導された。
指導するスチュワート・マクミランコーチは、ケンブリッジをこう分析する。
「大きく何かを変えたりする指導はしなかった。飛鳥の走りの長所を伸ばし、苦手な部分を改善した。まず、ウェイトがとても弱かった。それからスタート。飛鳥のような(スタートがさほど得意ではない)選手はどういうスタートをするのがベストか、自分のスタートの型を理解させる指導を心がけた。
(60mの室内世界新記録を樹立した)コールマンはスタートで飛び出て、30mでトップに立っていないと負けレースになる。でも中盤以降が持ち味の飛鳥やアンドレ(ドグラス)は、そこに繋げるためのスタートでいい。30mまで速い動きができればいい。速く走る必要はないんだ」