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テニス、ゴルフ同様のランキング制に。
陸上界改革で東京五輪はどうなる?
posted2018/04/26 07:30
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
東京五輪まであと2年。
五輪の花形競技のひとつ、陸上は、国際陸上競技連盟(以下、国際陸連)がこの春からランキング制を採用することを発表。来年のカタール世界選手権、再来年の東京五輪はランキング上位者に出場資格が与えられることになった。選手は出場した全試合のうち記録が良かった5試合の平均点によってランク付けされていく。
これは日本選手はもちろん、多くの選手にとってかなり衝撃的なニュースだ。
これまでは、国際陸連が決めた標準記録を破れば世界選手権や五輪に出場できた。しかし今後はランキングに左右されるため、出場する大会なども吟味しなくてはいけない。
今回のランキング制で最もグレードが高いのは五輪や世界大会、その次にダイヤモンドリーグのファイナル、その下にダイヤモンドリーグ(以下DL)があり、アジア大会はAランク、日本選手権はBランク、日本国内のその他の大会はFランクと続く。
そもそもなぜランキング制なのか?
国際陸連が今回のランキング制を採用した理由はいくつかある。
1つめは年間優勝者の分かりにくさ。
五輪や世界選手権などで活躍した選手にばかり注目が集まり、年間を通して活躍した選手の影が薄かった。
もう1つは、各国で開催される大会で出た記録の「質」に疑問符がつけられた点。
世界選手権や五輪前には、一部の国では、選手の記録に有利に働くように、風の計測や記録をごまかして好記録のサポートをしたり、ドーピング検査を行っていない、などと噂が出ていた。
そのため国際陸連のセブ・コー会長は「正しい状況下で出された記録を増やしていきたい」と数年前から話していた。その結果、今回のランキング制に踏み切ったわけだ。