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ケンブリッジ飛鳥のアリゾナ修行。
新フォームで織田記念に帰ってくる。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/04/28 07:00
アリゾナの地で、ケンブリッジ飛鳥は頼もしい仲間たちに囲まれている。ハイレベルのライバルが成長を加速させていく。
「次はどこの試合で会えるかな?」
ケンブリッジの加入は、チームにもいい刺激となった。
「スタートが得意なウジャ、スタートが苦手なドグラスとウェブ。飛鳥はちょうど真ん中くらい。タイプが異なる選手が一緒に練習することで、お互いがいい刺激を受けて相乗効果が生まれている」とコーチは話す。
爆発的なスタートが持ち味のウジャは、ウェイト練習も強い。一方、ドグラスは女子選手より軽いウェイトでもつらそうな表情を見せることも。
カナダ代表のトレーナーがウジャを「ライオン」、デグラスを「ガゼル」に喩えるように、皆が走りのタイプが全く異なる。ケンブリッジは彼らと練習することで、自分の弱い部分、そして持ち味をより深く理解した。練習への姿勢、気持ちの入れ方もフェニックスで過ごす時間に比例して大きく変化した。
現地で英語のレッスンを受け、チームメイトやコーチとコミュニケーションを取る努力もした。
ケンブリッジの練習最終日には、皆が口々に「次はどこの試合で会えるかな? 一緒に走るの楽しみだな」と別れを惜しんだ。
織田記念では、山縣亮太と約1年ぶりの対戦。
シーズン初戦のテキサスリレー100mではタイムを意識しすぎて10秒22というタイムに終わったが、心配はしていない。
「練習でできたことを試合で出せれば大丈夫ですよ」と話す。
現在、男子100mは自己ベスト10秒0台の選手がひしめく群雄割拠の時代だが、「代表になるのも、勝つのも大変だと思うけれど楽しいですよね。ワクワクします」と言う。
次戦は、4月28日、29日に広島で開催される織田記念。地元出身の山縣亮太(セイコー)と、昨年6月の日本選手権以来の対戦となる。
自分よりも速い選手の背中を追いかけ、並び、追い抜くことに喜びを感じてきた「かけっこ好き」が、アメリカでの合宿を経てどんな走りをみせるのか。ぜひ注目してほしい。