ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
比嘉大吾の減量失敗はなぜ起きたか。
「体重は落として当たり前」の声も。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2018/04/17 17:15
比嘉大吾のキャリアは大きく歪んでしまった。ボクサーにとって階級の選択、そして減量は永遠の課題なのだろう。
文句なしのスーパースター候補だった。
本当に残念な話だと思う。比嘉はあすのボクシング界を背負う、文句なしのスーパースター候補だった。
相手をこれでもかと殴りまくり、KOを量産する議論不要のスタイルは、ボクシングを知らない人でも大いに楽しむことができた。「テレビに出て有名になりたい」と愛嬌たっぷりに話す22歳は、だれからも愛されるキャラクターの持ち主でもあった。ボクシング界随一の知名度を誇る具志堅用高という強力な後ろ盾もあった。
2月下旬には、アメリカで開催された軽量級の複数世界タイトルマッチを視察。現地でもパーフェクトレコードの持ち主としてその存在は知られており、アメリカ進出という大きな夢も現実味を帯びていた。
まさにこれから大きく羽ばたこうというときの大失態。人生のはかなさを嘆かずにはいられない。
それなりの処分は避けられない。
再起への道のりは厳しいものになるだろう。ネリは日本ボクシングコミッションから事実上の永久追放処分を受けた。比嘉にもそれなりに厳しい処分がくだるのは避けられないと予想される。
失ったものは大きいが、やってしまったものは仕方がないし、これでボクシング人生が終わったわけではない。比嘉はこの1年間、めまぐるしく環境が変化する中を猛スピードで突っ走ってきた。立ち止まればまた、いろいろな景色が見えてくるはずだ。比嘉の新たな出発を見守りたいと思う。