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全国の強豪集まる謎のサッカー大会?
「船橋招待」支える市立船橋監督の志。
posted2018/04/15 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「強豪が強豪の名にあぐらをかいていていいのか――」
市立船橋高校サッカー部を率いる朝岡隆蔵は、自分達のあり方についてずっとこう考えていたという。
市船といえば、これまで選手権優勝5回(歴代5位)、インターハイ優勝9回(歴代1位)を誇る名門中の名門。高円宮杯プレミアリーグイーストにも所属し、これまで布啓一郎(現・ザスパクサツ群馬)、石渡靖之、そして朝岡と3代に渡って監督のバトンを引き継いでも一切力が落ちることはない希有のチームと言って良い。
まさに“泣く子も黙る”強豪と言える市船が、「このままではいけない」と危機感を抱いて起こしたアクションが「船橋招待U-18サッカー大会」だった。
以前は「ただ参加しているだけ」だった市船。
今年で23回目を迎える船橋招待は、毎年3月下旬から4月上旬にかけて開催される。
当初は市船のBチームの強化策として設けられたフェスティバルだったという。
千葉県の各サッカー指導者の任意によってスタートしたこの大会は長年継続されてはいたが、2011年に朝岡が監督に就任してから、抜本的な改革がなされていた。
「僕はコーチ時代からこの大会に参加をさせてもらっていますが、以前はチーム数が多く、船橋市以外のあちらこちらのグラウンドで一斉にやっていたんです。ただ、練習試合の延長線上で冠を付けているだけの側面を強く感じていたんですよ。
ウチも運営には関わっていましたが、“ただ参加しているだけ”という感覚が拭えませんでした。厳しい言い方をすると“形骸化”している気がしたんです。『船橋招待(当時の名称は東日本ユース)』の期間中にウチのAチームが別の遠征に出ているという状況もあった。本来はもてなす側の立場にもかかわらず、トップチームとスタッフがその場にいない訳ですから……それでは船橋でフェスティバルをやる意味がないと感じたんです」