“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
全国の強豪集まる謎のサッカー大会?
「船橋招待」支える市立船橋監督の志。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/04/15 08:00
左から、市立船橋サッカー部の朝岡隆蔵監督、コーチの式田高義。
移動を減らし、25分ハーフ形式にし……。
これまでの試合会場はグラスポを中心にしながらも、千葉県内の大学の力を借りていたが、参加チームに移動という負担を与えてしまっていた。
そうした疲弊を懸念した朝岡は、タカスポ完成を契機にメイン会場を船橋市内の2カ所に絞り、さらに試合方式も25分ハーフで回していくことで、よりフレッシュな状態でいろんなタイプのチームと対戦できるようにマネジメントした。
「移動が増えてしまうと、参加チームに負担がかかってしまう。なので、今回はメイン会場を2つ(グラスポ、タカスポ)に絞って、25分ハーフにしました。
そうすれば、その会場に1日いれば試合数をいくつかこなすことができる。
25分ハーフの試合はヨーロッパの育成フェスティバルでは一般的な方式ですし。この方が中だるみが無く、いろんなタイプのチームと戦えるメリットもある。今大会を振り返っても1試合、1試合のクオリティーが高くなったと思います」
筆者も3日間すべて現場で取材をしたが、朝岡の言葉通り、どの試合も中だるみが無く、お互いが集中した状態で非常に熱い試合が何試合も展開されていた。
中でも東福岡vs.前橋育英、東福岡vs.市立船橋、静岡学園vs.東京Vユースなどは驚くほどハイレベルなゲームとして記憶に残った。
最終的には、優勝は4勝1分1敗の成績を残した東京Vユースに。京都橘が勝ち点で並んで2位、1差で追った市立船橋が3位となって、盛況だった大会の幕を下ろすこととなった。
「市船のサッカー文化に『支える』という要素を」
濃厚な3日間を終え、すべての大会マネジメントを終えた朝岡は最後に安堵の表情を浮かべながらこう口を開いた。
「疲れましたが、やはり大きな財産が残る大会だと思いました。
設営や運営、ボールボーイ、得点板係や本部の仕事など、すべてウチの選手がこなすことで、いつも招待をされて、皆さんにもてなされて試合をしている環境が当たり前でないことに選手たち皆が気付いてくれる。
僕は市船のサッカー文化の中に、『支える』という要素を入れたかったんです。
周りの支えがあって、自分達はサッカーをできている――そういう認識を持って初めて、サッカーをやっていることへの感謝、周囲への感謝が芽生えてくるんです。個人としても、チームとしても、あぐらをかいていると、いつかは限界がきますから……」