ミックスゾーンの行間BACK NUMBER
西野監督へ「リベロ長谷部」の提言。
実は名古屋時代は堅守速攻だった。
posted2018/04/13 17:30
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Getty Images
もはや、嘆いていても仕方がない。そろそろ無理にでも前を向きたい。
サッカー日本代表のことである。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が電撃解任され、その生々しい背景話や日本サッカー協会(JFA)への批判など、ここ1週間は悶々とした空気の話題が並びに並んだ。
しかしロシアW杯が6月にやってくることに変わりはない。時間の猶予もない中で、何ができるか。
4月12日には、西野朗新監督の就任会見が行われた。技術委員長だった人間が指揮官に就くことに対して大きな批判が飛んでいるが、JFAの組織論に対してモノを言う時間すら、今はもうない。批評も分析も、すべてはW杯が終わってからである。
ロシアの地で、西野ジャパンはどう戦うのか。注目はそこに集約される。就任会見で、新監督はハリルホジッチ監督が掲げた縦に速い攻撃やデュエルをベースにしたフィジカルサッカーを全否定はしなかったが、日本らしい組織的なプレーや攻撃連係を再度呼び覚まそうとしていることを示唆した。
ぎこちなかった選手たちの復活を。
そして、選手たちに真っ先に求めるものとして、こんなことを話している。
「(ハリルジャパンから)継承していくスタイルと、さらに選手たちがクラブで見せているような自分のプレーをもっと素直に代表で表現してほしい。ストレートに選手がプレーできる状況を作りたい」
つまり、ハリルジャパンでは本来のプレーを発揮できていない、ぎこちない選手が多かった。西野監督は技術委員長として、そう見ていたようだ。さらに日本人選手が“らしさ”を取り戻すためには、「技術力を最大限出したり、規律や組織の化学反応をベースにしたサッカー」が必要だと考えている。
西野監督の戦い方とは。
その代名詞となるのが、ガンバ大阪時代に見せていた攻撃的なサッカーだ。遠藤保仁という稀有なプレーメーカーを軸に据え、パスを繋いで試合の主導権を握る、強気な攻撃スタイル。ガンバ全盛期を作り出したのは紛れもなく西野体制であり、そこで繰り広げられた戦い方がそのまま指揮官の色として、定着している。