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独善的な男が大木監督のもとで変身。
J2岐阜・田中パウロの決定力改革。
posted2018/04/12 17:00
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph by
J.LEAGUE
プロ6年間のキャリアで、J3を含めて通算7ゴールだった選手が、今シーズン早くも5ゴールをあげて、J2得点ランキングの2位に喰い込んでいる(第8節終了時)。第6節の愛媛戦ではハットトリックを達成。遅咲きの予感を漂わせつつあるのが、FC岐阜で主に3トップの右を務める田中パウロ淳一だ。
大阪桐蔭高3年夏のインターハイでベスト8。力強いドリブルと隙あらばシュートを狙う左足が認められ、2012年川崎フロンターレに入団する。ところが、翌年の3月に「海外でプレーするのが夢。できる限り早いタイミングで挑戦したい」と、みずから退団。渡欧してチャンスをうかがったものの、願いはかなうことなかった。
その年12月の合同トライアウトに参加、当時J3だったツエーゲン金沢で再出発を図り、'16年からFC岐阜に籍を置く。
ちなみに、一見ミドルネームのような「パウロ」とは、高校時代に付けられたニックネーム。田中マルクス闘莉王(京都サンガ)の父・パウロさんが出演しているテレビ番組を観た先輩が、風貌が似ていて同じ田中姓だからと、命名したのだとか。本人も多くの人に覚えて欲しいと、'15年シーズンからJリーグの登録名に採用している。明るく闊達なキャラクターでも知られている。
サイドアタッカーがなぜゴール量産?
これまではサイドを突破してクロスをあげる、チャンスメイカーのイメージだった。岐阜に移籍しての1年目は無得点3アシスト。昨年は第2節名古屋グランパスとの「名岐ダービー」で、J2初ゴールを記録したのを皮切りに5月初めまでに3得点したのだが、そこから10月下旬までゴールがなく。結局5得点でシーズンを終えていた。
それが今年は出場7試合で5得点。7年目にして突如ゴールを奪えるようになった背景には、いくつかの意識と技術の変化がある。
「これまでは個人のドリブルの力で点が獲りたいとか、打開したいとかだけ考えてプレーしていたんです。だけど今は抜けないと思ったら、パスを出してもう1回もらう。あまり無駄にボールを持たず、そこでボールを動かして、もう1回もらうってことを、チームとしてやっているので。少しは球離れが良くなったのかな」