来た、見た、書いたBACK NUMBER
ガンバ、7戦目の今季リーグ初勝利。
クルピ流チーム作りの魅力と懸念。
posted2018/04/13 17:00
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
荒木友輔主審が4分間のアディショナルタイムを終える長い笛を吹いた瞬間、安堵に似た歓喜がパナソニックスタジアム吹田に広がった。
ジュビロ磐田の猛攻を耐え抜いた守護神の東口順昭は、感極まってピッチ上にうずくまり、初瀬亮は思わず座り込んでいた。
シーズン終盤の大一番に勝ったかのようなリアクションが示すように、ガンバ大阪にとって4月11日の7節ジュビロ磐田戦はシーズン序盤の大一番だった。
前節のヴィッセル神戸戦ではスコアレスで推移した後半のアディショナルタイムに悲劇的な決勝点を献上。土壇場で競り負けたことで、チームは明らかな危険水域に足を踏み入れかけていた。
この時点の順位に一喜一憂する必要はないが、6節を終わった段階で得た勝ち点はわずかに1。J1リーグ復帰1年目で三冠冠を独占した2014年は6節段階で勝ち点5からの劇的なV字回復を果たしたが、降格した2012年でさえ、6節を終えて勝ち点4を手にしていたのである。
芸術サッカーを好むクルピ監督だが。
「最後まで攻め抜くチームを目指す」
1月の新体制会見でこう話したように、レヴィー・クルピ監督は攻撃サッカーの再構築を宣言するなど攻撃サッカーの信奉者と見られがちだ。
「私はフッテボウ・アルテ(芸術サッカー)を好む」と公言してはばからない指揮官ではあるが、常に重視するのは攻守のバランスだ。
「サッカーはいかに攻め、いかに守るか。いい攻撃がいい守備を生み、いい守備がいい攻撃を生む」
現役時代はザゲイロ(CB)として活躍した指揮官だけに、ガンバ大阪をかつてのような
「2点取られるが3点取り返す」スタイルに回帰させるつもりは毛頭ない。