Number ExBACK NUMBER
本田真凜、拠点を米国に移す決断。
アルトゥニアンコーチを選んだ理由。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2018/04/06 08:00
3月31日の「スターズ・オン・アイス」公演後、アルトゥニアンコーチに師事することを自らの口で語った本田。
憧れのワグナーに「かっこいいな」。
また、ワグナーの存在も大きい。
本田にとって、ワグナーはもともと憧れの存在だった。初めてその演技を会場で観たスケートカナダで気持ちはますます強まった。
「練習のときからずっと演技を観ていたんですけど、ほんとうにかっこいいなと思ったんです。それだけじゃなく、試合前、自分がそわそわしているときもワグナーさんは落ち着いていました。こういう選手になりたいって思いました」
気持ちの安定という課題をはじめ、学ぶことは多いはずだ。ワグナーが第一線で活躍を続ける裏には、真摯な取り組みと自制心があるからだ。
壁にあたった選手が、環境を変えることで乗り越えたり開花したケースは、フィギュアスケートに限らず、さまざまな競技に例がある。
ただそれを可能にするのは、当の本人の姿勢にほかならない。
「スケートのことをずっと考えながら」
濱田コーチも、「真凜はなんでもできる子」という言葉が象徴するようにその能力に関しては認めていた。カナダでの厳しい言葉には叱咤激励の意があっただろう。濱田コーチに限らず、将来性の豊かさに言及する元スケーターは少なくない。それを花開かせることができるかどうかは、本田自身にかかっている。
「すごい選手たちと練習する機会があってすごく刺激になりますし、自分ができないことがたくさんあります。毎日毎日、スケートのことをずっと考えながら頑張っています。今シーズン、時間はかかるかなと思うんですけど、1つ1つできることを増やしていければいいかなと思います」
言葉、新たな土地での生活、それらもまた乗り越えるべき壁となる。
だが、異なる環境に移っての新鮮な気持ちを忘れることなく、練習に向かっていくことができれば、道は再び開ける。将来は大きく広がっていく。