“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-17W杯で痛感した世界最強との差。
福岡慎平と上月壮一郎の成長曲線。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/02/15 07:00
ネクストジェネレーションマッチでゲームメークした福岡。東京五輪世代を目指す中心メンバーの1人だ。
攻撃の起点、多彩なカットインの習得を。
「僕は試合や練習で感じたことを携帯にメモしつつ、自分の動画を見て“この時こうしておけば良かったな”と頭を整理させているんです。U-17W杯が終わって、僕の中でメモしていたのは、イングランドのボランチについてです。例えば彼らは狭いスペースでもボールをもらって素早くターンして、ペナルティエリア手前まで簡単にドリブルで運んでしまう。“ボランチなのにここまで運べるのか”と思いました。
もちろんドリブルだけでなく、縦パスもバンバン付けていた。だから自分も帰国してからはドリブルと縦パスは相当意識するようになりました。もっといいポジションを取って、すぐに前を向いて縦パスをつけられるボランチになれたら、もっと怖い存在になれるのでこだわりたいんです」
バランスを司るだけのボランチではいけない。膠着状態をこじ開ける攻撃の起点となるという決意を持って帰国後の時間を過ごした。
その決意は上月も同じだ。
「やるべきことは多いです。例えばもっと細かいタッチの仕掛けだったり、オフ・ザ・ボールの動きの質を上げて、パスを呼び込むタイミングを早くしたり。突破1つをとっても、これまでは縦に行けなかったら、“なんとなくカットイン”していましたが、それでは相手に読まれてしまう。シュートを決めるためのカットイン、縦を抜くためのカットインを同時に磨きつつ、判断の質を上げることを意識しています」
2人の頭の中にはイングランドの残像が残っているし、あえて残し続けているのだろう。
ボランチでゲームメーク、後半は左SB。
話をネクストジェネレーションマッチに移そう。
ボランチで先発した福岡は、常に周囲を見渡しスペースに走り込んでボールの出し入れを繰り返す。14分にはDFを食いつかせつつタイミングをずらしたトラップで前を向き、フリーのMF奥野耕平(ガンバ大阪ユース)にラストパスを送った。
22分には前へ出てボールを受ける裏に飛び出したFW宮代大聖(川崎フロンターレU-18)にループパス。どちらも得点にこそ至らなかったが、ボールの落ち着きどころ、そしてチャンスメーカーにもなった。
後半途中からは左サイドバックに移った。「小4の時にやった以来のサイドバックで、いきなりだったので最初は難しかったですが、スプリントと守備力をどう表現して、サイドで起点になれるかを考えた」とすぐに順応。高い位置を常にとりながら左サイドを活性化させ、40分ハーフの前後半を通じて成長の跡を感じさせた。