畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
畠山健介からラグビー界への提言。
2019年は魔法が解ける“深夜12時”だ。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/02/01 10:30
サントリーとパナソニックの決勝は最高の試合だった。それだけに広がりきらない現状がはがゆい。
企業におんぶに抱っこの状態を抜け出す必要がある。
その努力が実を結べば、ファンやスポンサーなどのサポーターは満足し、喜んでお金を払い、それが広がって市場が拡大し、自分たちもより大きい対価を得ることができる。これこそ業界の市場を広げ、価値を上げるための企業努力、経営努力だ。
しかし、日本のラグビー界では各企業がチケットを買い取る割合があまりにも大きい。チケット代の何百倍、何千倍も利益を出している企業にとってみれば、チケット代は大きな出費ではないのかもしれない。しかし、そういった企業におんぶに抱っこの状態から抜け出そうとしない限り、先ほどの総入場者数というデータは意味をなさない。
企業は多くの選手・スタッフを抱え、選手の給与、グラウンドやクラブハウスなどの施設維持費、シーズンや合宿時は移動、宿泊など、金銭的にすでに多くの投資をしている。しかし、日本におけるラグビーという市場は非常に狭い。企業に対する見返りは金額的にも広告効果としても薄い。
多額の費用をラグビー部に投資するよりも、有名な俳優、女優、タレント、お笑い芸人、スター選手をCMに起用し、その出演料を支払った方が広告という意味では、費用対効果は何十倍も何百倍もある。
すべてはワールドカップのために。ではその先は?
広告効果が薄いラグビー部を、何のために企業は金銭的に大きな負担をしてまで、維持するのか?
「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」(以下RWC2019)
これだ。日本という小さなラグビー市場ではなく、欧州やオセアニアを中心とした大きな市場を持つ地域へ自分たちのシェアを拡大することができる。RWC2019があるかぎり、否が応でも「日本」という国に注目が集まる。RWC2019を通じてラグビーをサポートする企業という広告を国内外に出すことができる。
では、その先は? RWC2019が終わった後は?