Jをめぐる冒険BACK NUMBER
森保Jは人を代えても型がブレない。
サイドを広く使い、後ろから繋ぐ。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2018/01/17 12:40
スペースに後ろから入ってきた選手のゴールも重要だが、三好康児(右)ら前線にゴールが生まれるのはそれ以上に大切だ。
長沼「自分が“主”にならず、シャドーのために」
この日ウイングバックに入ったのは、パレスチナとの初戦以来の先発となる浦田樹(北九州)と初出場の長沼洋一(岐阜)。ふたりはいずれも昨年12月のタイ遠征に参加し、指揮官の手ほどきを受けたメンバーだ。しかも長沼は広島時代に1年半、森保監督の指導を受けている。その長沼が説明する。
「攻撃のときにはまずは張って、守備のときは一番後ろまで戻るということを練習中からずっと言われているので、そこは徹底しました」
ウイングバックの狙いを記すと、こうなる。
(1)自らが外に張ることで相手SBを引きつける。
(2)内側にスペースを作り、シャドーの選手にボールが入りやすいようにする。
(3)もし相手SBがシャドーに食い付いたら、そのときは自分が裏を狙う。
「もちろん、自分が受けたい気持ちもあるんですけど、大事なのは自分が“主”にならず、シャドーのためにポジションを取ること。1、2試合目を見ていて、そうした動きをもっとやったほうがいいなって感じていたんです」
サイドを広く使えば、どこかにスペースができる。
こうした長沼の意図を、右シャドーに入った三好も感じ取っていた。
「ワイドが引っ張ってくれることで自分たちシャドーのスペースが空くと思いますし、逆にSBが自分たちのところに来れば、ワイドの裏が空くのは、このフォーメーションでやる上ではすごく重要なところ。そこを全員が感じ取れれば必ず崩せると思う」
もちろん、指揮官が「もっと効果的に相手を広げたり、サイドチェンジと中の縦パスを使い分けられるようにならないといけない」と指摘したように、改善の余地はある。
だが、長沼の言葉に指揮官がウイングバックに求めるプレーのエッセンスが詰まっているのは、確かだろう。