月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「暴力」を意識しなかった日馬富士。
こんなにも遠かった世間と角界の距離。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2017/12/01 16:50
多くの国民そして相撲ファンは、日馬富士と角界関係者たちのゴタゴタを、どんな気持ちで見てるのか……。
当事者側は「暴力そのもの」に気づいていない?
世間は「まだ相撲界では暴力がおこなわれていたのか」「しかも横綱が」と驚き呆れているのだが、当事者側は「暴力そのもの」に気づいていないフシがあるからだ。この差は大きい。もっとも興味がわく。かわいがりとか愛のムチとか指導という言葉に今も変換されたままなのであろう。
確かに長い間「あちらの世界」では有効だった変換ワードだったし、黙認されてきた局地的風習なのだけど、これだけ情報が可視化される時代に商売をする以上もうこの風習は無理だろう。道徳とか倫理ではなくあえて「商売」という面でそう思う。
《日馬富士の引退で、相撲協会が教訓としなければならないのは、相撲界に根強くはびこる「教育」という名の暴力を一掃することがいかに難しいか、ということである。》
スポニチの「記者の目」の指摘があらためて響く。
以上、11月のスポーツ新聞時評でした。