Jをめぐる冒険BACK NUMBER
初優勝の瞬間、柿谷の姿はなかった。
セレッソの主将として必要な姿勢は。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/11/08 08:00
柿谷曜一朗は、セレッソの象徴である。だからこそ、ピッチ内外でチームを引っ張る姿が見たい。
爆発的な得点力と勝負弱さが同居してきたC大阪。
ディエゴ・シメオネ率いるアトレティコ・マドリーのサッカーを共感を覚えるという指揮官が、さらに続ける。
「それに、現代サッカーは昔のようにひとりのスタープレーヤーに依存するものではありませんからね。もちろんスタープレーヤーはいますが、そういう選手もチームに溶け込んで、一緒にハードワークするのが現代サッカーですから」
これまでのC大阪は魅惑の攻撃サッカーを繰り広げながら、安定感を欠くきらいがあった。爆発的な得点力を誇りながらどこか勝負弱く、それが、優勝争いを繰り広げながらもタイトルを獲れず、ひとたび歯車が狂えば降格してしまう要因だった。
だが今シーズンのチームは、そうした脆さとは無縁だった。その点で、今回のファイナルは集大成のようなゲームだったと言える。
タイトルを取ると、次のタイトルがまたほしくなる。
チーム全員がタイトル獲得に貢献し、チーム全員がタイトル獲得の味を知った今のC大阪にとって大きいのは、さらにタイトルを積み重ねるチャンスが残されていることだろう。思い出すのは昨年、チャンピオンシップを制した鹿島アントラーズの土居聖真の言葉である。
「『チャンピオンシップが終わったばかりなのにクラブワールドカップがあって大変ですね』って言われるんですけど、全然。むしろ、クラブワールドカップがあって良かった、天皇杯に勝ち残っていて良かったって思いますね。次のタイトル獲得のチャンスがすぐにある。それにチャレンジできるのは、幸せだなって」
次なるタイトルへの飢えが芽生えているはずのC大阪の選手たちも、天皇杯で勝ち残っている幸せを感じていることだろう。今年2月の加入会見で「タイトルを獲ることによってセレッソ大阪というチームはもっともっと強くなる」と語った清武は初タイトル獲得後、こう述べた。
「変われるかどうかはこれからの自分たち次第。今年タイトルを獲るチャンスがまだあるし、残り1カ月半は試されるんじゃないかと思います」