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セレッソでルヴァン杯制した尹晶煥。
“らしくない”異能の韓国人監督の実像。
posted2017/11/07 17:00
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
セレッソ大阪が4日のルヴァンカップで初優勝を果たした。
去年までJ2にいたクラブが一気に優勝まで駆け上がった。何よりクラブが1993年にヤンマーディーゼルサッカー部から現体制に変わり、25年めの初戴冠が大きな話題になった。
何が変わったのか?
シンプルに言えば監督が代わった。これは明白な事実だ。今季から尹晶煥(ユン・ジョンファン)が監督に就任し、この優勝。リーグ戦では優勝の可能性はないものの、残り3節で3位につけ、天皇杯ではベスト4に勝ち残っている。
では、どうやって変わっていったのか?
試合後、セレッソ大阪の選手たちに聞いてみた。尹晶煥監督のどういったところが良いのか。
守備について考えさせられた、じつにシブい決勝戦。
柿谷曜一朗はいう。
「うーん、守備の選手のほうがその良さははっきりと言えると思うんですよね。守備の選手や、あるいは(水沼)宏太(=サガン鳥栖時代から尹の下でプレー)に聞いたほうが、より分かりやすく言ってくれると思います」
確かに決勝戦のサッカーは、攻撃面での良さというより、守備について考えさせられるじつにシブい内容だった。
セレッソの得点は開始直後の1分と終了間際の92分。その間は川崎フロンターレの猛攻に耐え続けた。80分過ぎから3度ほど守備陣が“クリア”に逃げる状況があるほどだった。
尹自身は試合後、「もう少しボールをキープしたかったが、早い先制点でむしろ守備的になった」と口にしたが、それはそれで、やることをやりきっての勝利でもあった。個人的には相手をしたたかにはめて勝つ楽しさを感じた。いっぽう試合後の記者席では「勝てば官軍」という言葉も聞かれた。決勝戦としては少し期待外れの試合展開でもあったと。不思議な後味の試合でもあった。