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田臥勇太「マイナスは何もない」。
Bリーグ栃木、5連敗も前を向いて。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYuki Suenaga
posted2017/10/27 11:30
勝てない時期が続いても、全力の戦いを続ける。田臥らブレックスの選手たちにできることはそれだけだ。
指定席を増やしても最多動員数が増える好循環。
選手の流出に、HCの交代といった変化を否定的に捉える声は確かにある。それでも選手やファンの戦いとともに、チーム全体でも地道な取り組みを続けている。
まず昨シーズンから2階席の2つのエリアと、1階席の3つのエリアが自由席から指定席に変わった。観客1人あたりの平均入場収入も増える。値上がりは客足を遠ざけるように思われるが、昨シーズンのホーム最終戦で記録したブレックスアリーナの最多動員数を今季開幕戦で更新した。
さらに、第3節の千葉ジェッツふなばし戦では、さらにその記録を更新している。微々たるものかもしれないが、ここで得られたものは将来的には選手獲得の資金にもつながっていく。
また、今シーズンからは1階席と2階席の間にLEDリボンビジョンを設置することで、様々なメッセージや応援のテーマを表示できるようになり、アリーナの一体感向上に一役買っている。
コートサイドの席には段差を設け、2列目の席からも見やすいようになった。コートサイド席から通路を挟んだ自由席エリアには「スマートステージ」と呼ばれる可動式の席を設置。昨季までは背もたれもない木製の長椅子だったから、快適さは著しく向上して応援に熱を入れやすくなった。そうした設備導入に少なくない額を投じている。
女子トイレの数が少なく、ハーフタイムに長蛇の列ができる問題を改善していく余地はある。ただ、選手補強だけに資金を投じるのではなく、ファンに快適な環境を作るのは正しい。成績に左右されない集客の仕組みを作るのが、スポーツチームの大原則だからだ。
相手チームから見てもブレックスアリーナは凄い。
そんなアリーナは他のチームにとって、脅威となっている。
昨シーズンのCS準決勝に続き、今季開幕戦でも敗れたシーホース三河の鈴木貴美一HCは、こう話していた。
「栃木さんの体育館というのは本当にファンとチームが一体になっていて、いつもと違う雰囲気なんです。その雰囲気に慣れるのに、もしかしたら選手も時間がかかってるのかなと。言い訳になっちゃうのであまりそういう風に考えたくないですけど、それはあるかもしれません」