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田臥勇太「マイナスは何もない」。
Bリーグ栃木、5連敗も前を向いて。
posted2017/10/27 11:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Yuki Suenaga
上手くいっていない今こそ、思い出すべきだ。
このチームの強みは何なのか。どこに魅力があるのか。なぜ、多くの人の心を打つバスケットが繰り広げられてきたのかを。
10月25日、栃木ブレックスは5連敗を喫した。Bリーグの初代王者は東地区で最下位、リーグ全体で見ても勝率は下から2番目で、B1残留プレーオフ圏内に沈んでいる。
苦戦の理由は、はっきりしている。チームが再建を余儀なくされているからだ。
主力の移籍と引退、負傷離脱、ヘッドコーチの変更。
田臥勇太と1試合の出場時間がほぼ同じだった渡邉裕規が引退した。またファイナルMVPの古川孝敏と、昨季急成長した須田侑太郎が琉球ゴールデンキングスに、屈指の身体能力を誇っていた熊谷尚也が大阪エヴェッサへと移籍した。
そして昨季ファイナルの最終盤でアキレス腱を断裂したジェフ・ギブスも年内の復帰は難しいとみられている。さらに、ヘッドコーチ(HC)トーマス・ウィスマンとの契約も更新せず、満了した。
HCが変わったことで、攻守においての約束事が変わった。攻撃ではライアン・ロシターと田臥を軸にゲームメークし、ファイナルMVPの古川が要所を仕留める形がなくなった。古川のように得点を獲れる選手はいないし、攻撃の形はまだ作れてない。
リーグ最少失点を誇った守備もそうだ。昨シーズンまでは中心メンバーが大きく変わることなく戦ってきたために「言葉でコミュニケーションをとらなくても、連動できる」と言われていた。ただ、そんな、あうんの呼吸も今はない。
これだけの変化があって、いきなり結果を出すのは、例えばステフィン・カリーでも連れてこない限り不可能だろう。
田臥もこう話している。
「すぐに結果が出ればベストですけど、相手も強いし、簡単にいくわけがないですから」