【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
楽天がNBAと提携する意義は?
進むグローバル化と顧客囲い込み。
posted2017/10/24 08:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Kyodo News
楽天がNBAとパートナーシップ契約を結びました。国内での独占的な放映権やグッズ販売の権利を含めた包括的な契約です。
これで楽天は日本のスポーツビジネス界の中で、1歩抜け出したと感じました。
今、世界で人気のスポーツは、上位からサッカー、バスケットボール、テニス、クリケット、野球というデータがあります。楽天は、サッカーではヴィッセル神戸を所有し、スペイン1部のバルセロナとパートナーシップ契約を結んでいます。テニスでは「楽天ジャパンオープン」を開催し、野球では楽天イーグルスを持っている。他にも、ゴルフでは「楽天GORA」というサイトを運営しています。
NBAとの契約で、バスケットボールにも関与することになりました。契約年数や金額は非公表ですが、かなりの額を出していることは間違いない。例えば、バルセロナとは年間約70億円という破格の契約を結んでいます。
これらは単に「スポーツ支援」という観点で出せる額ではありません。企業によるスポーツへの投資には、「スポーツ支援」とは別に「企業戦略」という観点があります。楽天は、グローバルな視点の元、スポーツとのシナジーによる「企業戦略」を進めてようとしています。
“楽天経済圏”に世界中の顧客を囲い込むつもり。
そもそも楽天には、土壌がありました。
「楽天市場」に代表されるEC。
その中で使用できる「楽天スーパーポイント」。
「格安スマホ」
DAZN、Netflix、Huluなどのような映像メディア「Rakuten TV」。
クレジットカードである「楽天カード」などの金融ビジネス。
楽天は、これらのビジネスを通じて“楽天経済圏”の内側に顧客を囲い込んでいっているのです。そして、それらをグローバルな規模に進めようとしています。
「グローバル化」と「顧客の囲い込み」という大きな企業戦略のなかで、スポーツがカギとなっているのです。