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田臥勇太「マイナスは何もない」。
Bリーグ栃木、5連敗も前を向いて。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYuki Suenaga
posted2017/10/27 11:30
勝てない時期が続いても、全力の戦いを続ける。田臥らブレックスの選手たちにできることはそれだけだ。
田臥からルーキー生原がかけられたアドバイス。
多くの選手が移籍したのは複数の要因が絡んだものだが、ファイナルまで進んだことで、今シーズンに向けての編成が遅れたのは痛手だった。Bリーグ開幕後初めてのオフを迎えたことで、他チームの動きを見極められなかった面も追い打ちをかけた。企業の後ろ盾を持たないチームであるだけに、金に糸目をつけない補強に乗り出せないからだ。
ただ試行錯誤を続けるなかで、希望の光は感じさせる。
例えば、生原秀将という選手である。
生原は筑波大学の卒業を控えた今年1月に特別指定選手として加入。渡邉の引退に伴い、今季からは田臥に次ぐ2番手のPGとしてプレーしている。開幕戦となったシーホース三河戦では、出色の活躍を見せて勝利をたぐり寄せた。2試合目は田臥が負傷したために、実質的に1番手のPGとしてプレーしたものの、三河に力負けした。
ただ、この試合後に生原は興味深い証言をしている。
「ベンチに座っているときに『初日の試合で勝つと、次の日の相手はアグレッシブに、ファールするくらいの覚悟で来るんだぞ』と田臥さんから言われました。『勝った試合の次の日というのは、そういう試合になるから、より一層準備してやるようにしよう』と」
「開幕の2試合、良い勉強ができたってことなんだぞ!」
困難な道にも「マイナスなことは何もない」。
田臥は生原にこう声をかけた理由を、後にこう話している。
「コンスタントにプレーすることと、メンタルをしっかり持ち続けること。若い選手が多いから、それは本当に難しいこと。それができる選手こそが強くなるし、チームも強くなると思うので。それは試合のときだけ意識してもダメで、練習中から自分が感じていかないといけない。
僕自身もそういう話をすることで、自分自身が勉強になる部分もある。今シーズンはメンバーが代わった分、昨シーズン以上にそういうところは意識しますね」
簡単ではないとわかっているから、これまで以上のアクションを起こそう。キャプテンの田臥はそう考えている。困難な道を進んでいるからこそ、前を向き、そこに楽しさを探ろうとしている。
「マイナスなことは何もないです。みんなで『こうしよう』とか『ああしよう』と話していますし。ライアン(ロシター)も、練習中から若い選手たちに言ってくれていますし。自分のプレーヤーとしての質という部分でも勉強できますから」