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“引退宣言”を越えた“生前葬”!
アントニオ猪木はどう死ぬべきか。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2017/10/25 11:00
これまで多くの人に「元気」を分け与えてきた猪木。まるで「不死」のごとく、輝く存在なのだが……。
「生前葬」をしながら……再び元気になる猪木。
その「生前葬」で猪木は、「もう元気がなくなった」と言いながら、言葉と裏腹にさらに「生きる元気」を得ようとしているように見えた。
本人曰く……三途の川を渡るための「旅立ちのチケット」は閻魔大王によって発券を拒否され、「キャンセル待ちの行列にも受け付けてもらえなかった」らしい。さらに「葬式なんかオレには似合わない!」と笑い飛ばし、わざわざ生前葬に集った超満員札止めの7000人のファンとメディアを煙に巻いてみせた。
猪木のアイディアは常に時代の先を行っていたが。
だが……74歳という実年齢が、猪木に「死」を強く意識させているのは確かなのだ。
事実、猪木が戦ってきたレスラーや格闘家たちの訃報が続いている。そして、最近になって実の兄姉たちを亡くしたことで、より「死」というものを考えるようになったとも、本人は吐露していた。
猪木の生き方は「行けばわかるさ」という具合に行き当たりばったりであり、時には「山師」的に見えるかもしれない。
だが、猪木の奇抜なその思考、アイディアが、かなり計算されたものである場合もあった。その多くのアイディアは、うまく行ったかもしれないタイミングより何年も先行していて、実際にはうまくいかないことが多かった。時には5年ほど、あるいは10年以上も、猪木のプランは早過ぎた、と思うことが何度もあった。
それを考えるとこの「生前葬」も……また早過ぎたのではないか、と思いたい。