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プロレスラーが大怪我をした場合……。
いったい誰が悪いのか? 保険は?

posted2017/10/19 07:30

 
プロレスラーが大怪我をした場合……。いったい誰が悪いのか? 保険は?<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

さまざまな対策がなされているとはいえ、格闘技の世界からこの問題が完全に消え去るのは非常に難しい……。(写真は記事内容と直接の関係がないイメージ写真です)

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小塩康祐

小塩康祐Kosuke Ojio

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Tomoki Momozono

< 質問 >

「俺は、プロレスラーとして活動しているんだけど、この前の試合で重いケガをしてしまったんだ。プロレスをやっている以上、ケガをすることはよくあるし、仕方ないことだと思っている。けど、今回のケガで、今後プロレスを続けられるか分からない状況になってしまった……選手側から何か言うべきことがあるのかどうか、教えてほしい」

格闘技、コンタクトスポーツでは怪我はつきものだが。

 今回は、プロレスラーの方から質問をいただきました。

 質問にもあるとおり、プロレスに限らず、あらゆるスポーツにおいてケガをするリスクはありますが、特にプロレス等の格闘技やコンタクト系のスポーツは、他のスポーツに比べてケガのリスクが相対的に高いといえます。

 私自身もラグビーをしていましたが、骨折、脱臼、靭帯損傷といったケガをしたことがあります。競技の性質上、やむを得ずケガをすることが多いと思います。競技復帰が可能な程度のケガであれば、復帰を目指し、治療やリハビリに励むことができると思います。

 しかし、競技復帰が困難な重度のケガを負ってしまった場合、今後どうすればいいか不安に暮れることになると思います。特に、プロとして生活している選手にとっては、今後の生活を左右しかねない大変重大な問題でしょう。

 このような万が一の場合に備えて、今回は、プロレス等でケガを負った場合の法的対処方法や事前対応方法について説明します。

対戦相手に責任はあるのか?

 原則として、対戦相手に責任を追及することは難しいです。

 普通の生活において、第三者から殴る蹴る等の暴力行為を受け、その結果としてケガをした場合は、第三者に対して、不法行為責任を追及し、損害の賠償を受けられるでしょう(民法709条)。しかし、スポーツのルールや規則に基づく行為である場合、行為は違法ではないとされるので、損害賠償請求が認められることにはなりません。

 読者の皆様からすると、「ルールに基づいて殴ったり蹴ったりしているんだから、そりゃそうだ!」と思うかもしれませんね。

 そのとおりです。

 この点を法的に説明すると、「正当行為」「被害者の承諾」「危険の引受け」などという理論で、当該行為が違法ではないと考えられています。

【次ページ】 「正当」に殴って、「正当」に殴られている。

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