“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
世界レベルで通用した00ジャパン。
最強イングランド相手にPK戦で散る!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2017/10/18 17:00
敗退決定後、泣き崩れる選手たちもいたが……。若い選手たちにとっては、すでに次の戦いが始まっているのである。
久保、上月らのプレーが試合の流れを変えた。
仲間がミスを連発する中、FW久保建英は冷静にポジションを取って、一旦ボールを受けると簡単には失わず、アタッキングサードにまで運んでみせた。
さらに左MFの上月壮一郎も、積極果敢なドリブルを見せ、何度となくゴールに迫っていた。
この2人の素晴らしい動きにより、イングランドも長い距離をスプリントする機会が徐々に増えていった。圧倒的な攻撃力を背景に日本の体力を奪うはずが、じわじわと自分達の体力が奪われる展開に変わっていたのである。
実際、37分には右サイドを平川が破り、そこから中村敬斗が強引だがシュートまで持っていってみせている。DFに当たってファーに流れたボールを上月が狙ったが、これは惜しくもサイドネットを揺らすにとどまった。
序盤は圧倒的に見えたイングランドだったが……日本の素早い仕掛けとサイドを活かした揺さぶりに対して、徐々にその脆さを露呈し始めていた。
試合途中、徐々に回復・反撃し始めた00ジャパン。
こうした小さくも良質なプレーの数々が、ミスの多かった他の選手達を徐々に奮い立たせていった。
例えば、らしくないミスが続いていた平川と福岡のダブルボランチ。この2人は、時間が経つにつれて徐々に効果的なプレーを見せるようになっていた。
おそらく……序盤こそやられっぱなしのように見えたが、ピッチ上で徐々に、実は自分達にも十分チャンスがあると肌で感じ始めていたのではないかと思う。
もともと平川と福岡は、足下の技術やパスセンスはもちろんのこと、試合のあらゆる流れにおいて洞察力・分析力に優れた選手たちだった。相手チームの状況を試合中に正確に把握して、すぐさま自分たちのプレーに落とし込んでいくのが得意な選手なのである。
そんな彼らでさえ、W杯という独特の雰囲気と、相手が優勝候補のイングランドということもあって、少し飲まれてしまっていたようだ。
ただ、並の選手ではそのまま飲み込まれっぱなしで終わってしまうが……彼らは違った。