“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
世界レベルで通用した00ジャパン。
最強イングランド相手にPK戦で散る!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byZUMA Press/AFLO
posted2017/10/18 17:00
敗退決定後、泣き崩れる選手たちもいたが……。若い選手たちにとっては、すでに次の戦いが始まっているのである。
試合終盤は、完全に日本ペースだった。
0-0のまま後半に入ると、前半の戸惑いが嘘のように、この2人を中心に日本の攻守が噛み合い出した。
61分、久保の単騎突破からのシュートを皮切りに、69分には交代出場したドリブラーのMF椿直起からのパスを福岡が繋いで久保が再びシュート。76分には、FW宮代大聖のシュートもあったがGKのファインセーブに阻まれる――。
この時間帯はイングランドのDFラインがズルズルと下がり、足が止まり始めて、ミスが出始めていた。まさに、前半とは真逆の展開になっていたのである。
とはいえイングランドも、途中出場のMFナイア・カービーを軸にたびたびカウンターを仕掛けては日本ゴールに迫っていた。だが平川と福岡が鋭い出足の守備を見せ、中盤を引き締め続けたことで、日本のゴールも割らせることはなかった。
85分を過ぎる頃になると……試合は完全に日本ペースになっていた。
87分の宮代のシュート、89分の久保のシュートはいずれも相手DFに防がれたが、得点してもおかしくない時間帯が続いていたように思う。
監督の言葉に滲んだ「世界でも通用した」感触。
結局、最後までスコアが動かないまま、試合はPK戦へともつれ込んだ(※今大会のレギュレーションで延長無しの即PK)。
死闘を演じ、90分を通して立場を一変させる戦いを見せた00ジャパンの選手達。だが、PK戦は日本にとって残酷な結末となった。
全員のPK成功で迎えた後攻の日本の3人目のキッカーはMF喜田陽。前半こそ守備に奔走していたが、後半には積極果敢なオーバーラップをするなど、攻守に大きな存在感を見せた選手だった。だがその活躍虚しく、喜田のキックはGKにストップされてしまった。
00ジャパンの世界での戦いは、ラウンド16で幕を閉じたのだ。
「必ずこっちのペースになる。必ずチャンスが来ると思っていた。本当に悔しいです」
試合後、森山監督はインタビューでこう答えていた。立ち上がりが劣勢でも、それを着実に跳ね返していき自分達のペースに持ち込めるはず……そんな素晴らしいチームに仕上げてきた自信がこの言葉の裏にあった。
世界でも通用する実力があると実感できた……そんな思いがあったからこそ、こういう緊迫した世界トップレベルの試合をもう少し経験させてあげたかった。