“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
躍進の筑波大、天皇杯8強ならず。
大宮に肉薄も、僅かで大きな隙。
posted2017/09/21 12:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
天皇杯における筑波大の快進撃は、4回戦で幕を閉じた。
4回戦・筑波大vs.大宮アルディージャ。カシマスタジアムで行われたこの一戦は、平日の夜だったこともあり観衆こそ2429人と少なかったが、報道陣の数はテレビや紙媒体を含めてかなり多く、他の試合とは違う異様な雰囲気を漂わせていた。
内容的には前半は大宮、後半は筑波大のゲームだった。
筑波大からすれば後半は完全にボールを支配し、人もボールも動く“らしい”サッカーを展開し、大宮を振り回す場面もあった。
しかし、スコアは0-2。
大宮FW清水慎太郎による前半のPKと後半のオーバーヘッドシュートの2発に沈む形となった。
筑波大が試合をひっくり返せるだけの決定的なチャンスを作り、主導権を完全に掌握していただけに、惜しい敗戦だった。
単に「惜しい負け」にしないための分析が大事。
72分に筑波大のエースストライカーであるFW中野誠也が、インターセプトからドリブルで持ち込んで強烈なシュート。バーの下を激しく叩いたボールは、ワンバウンドの際にゴールラインを割った……かに見えたが、判定はノーゴール。もしこのゴールが決まっていたら、試合の結果は違ったものになったかもしれなかった。
こうした“惜しい”展開を踏まえての0-2。結果だけ見ると「勝てる試合だった」、もしくはその逆の「決めるべきところで決める決定力の差があった」などと、敗因分析はありきたりなものになってしまいかねない。だからこそ。この結果をありきたりな敗因に帰着させるのではなく、もう一歩踏み込んだ分析をする必要があるだろう。
筑波大と言えば、「パフォーマンス局」に代表されるように、試合を徹底的にデータ解析し、チームと個々のスキルアップに努めるインテリジェンス集団でもある。
試合後のミックスゾーンで選手の話を聞いてみると、筑波大のCB鈴木大誠の分析が、この試合結果の核心を突いているように思えた。