福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
オーストラリアをハメた“前プレ”。
福西崇史が見た快勝劇と伸びしろ。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/09/01 13:15
この日はパス回しよりもデュエル。ハリルホジッチ監督の思惑が投影された守備陣形で、ゲームプランを完遂した。
サウジ戦が決して“消化試合”ではない理由。
オーストラリア戦で予選突破を決められたことで、これから本大会までの約10カ月を本大会に向けての準備に充てられるのは、ものすごく大きいですよね。もしグループ3位になってプレーオフに回ってしまったら、約2カ月間にわたってその準備に追われてしまうことになる。
中4日で行われるサウジアラビア戦は、移動もはさんで戦います。選手としては移動という点では本番を想定できるところですが、試合会場のジッダがロシアと比べて暑すぎる、というのが……(笑)。
とはいえ、オーストラリア戦から選手を大きく入れ替えて臨むのか、それとも同じやり方でチームを熟成させるのか。そこを注目すると、決して“消化試合”ではないですよね。
この予選は原口や山口、大迫らのロンドン世代、そして井手口や浅野といったリオ世代も台頭した。以前も話しましたが、チーム内での競争が試合ごとに激しさを増しています。
とは言っても、先制点をアシストした長友、長谷部や吉田などこれまでも主力だったメンバーはレギュラーを守っているし、本田や香川も起用された試合で結果を残している(本田はアウェーのオーストラリア戦で先制点をアシスト、香川はホームでタイ戦でゴール)ことを忘れてはいけないと思います。
大事なのは誰が起用されるかではなく、チームが勝利すること。様々な選手が起用され、自分の良さを活かそうとしたからこそロシアW杯の出場権を手に入れられた。そのいい流れを本大会まで続けてほしいですね。
(構成:茂野聡士)