福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
オーストラリアをハメた“前プレ”。
福西崇史が見た快勝劇と伸びしろ。
posted2017/09/01 13:15
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
まず何より、6大会連続出場をホームで決めてくれたのが嬉しいですね!
そして試合自体も相手のやり方をしっかりと研究して、ゲームプラン通り勝ちきった90分間だったと思います。
ここ最近ポゼッションを重視するようになったオーストラリアに対して、どのように戦うか。コンフェデ杯では各大陸の強豪相手に互角に戦ったこともあり、積極的に攻めるスタイルがかなり磨かれてきた印象がありました。
だからこそ個人的には、今回の試合は「まず守備から入る」ことを意識してもいいと考えていました。もちろんそのためにはピッチでプレーする選手、そしてベンチに座る選手やスタッフ全員が一体感を持って戦えるかが試されるんですが。
その結果は……皆さんも目にした通り、ハマった形になりました。オーストラリアが想定通りの戦いをしてきたから、選手たちもスムーズに試合に入っていけたんじゃないでしょうか。
相手のプレスが厳しくなかったのは幸運だった。
さらに日本にとって幸運だったのは、オーストラリアが戦い方にそこまで変化をつけてこなかったことですね。
コンフェデを現地で見ていて“こう戦ってきたら、日本は少し厳しいな”と感じたのはチリ戦でした。オーストラリアはポゼッションだけでなく、前線からのハイプレスを仕掛けることで、南米王者相手に互角以上の戦いを見せました。日本戦でも攻撃的なアーバインとルオンゴをボランチに並べてきたので、日本がボールを持った時には、すぐプレッシャーをかけてくるのではないかと試合前には予想しました。
ただ試合が始まってみると、そこまでプレスは厳しくなく、アーバインの特徴である前線に飛び出すシーンはほぼなかった。オーストラリアとしてみれば、最後のタイ戦で勝てば出場権が獲得できる可能性があるので“引き分けでもいい”という気持ちが働いて、慎重なプレーになったのかもしれません。ちなみに1トップも、体格を生かしてボールを収められるユーリッチがベンチスタートだったのも日本としては助かったかな、と感じます。