卓球PRESSBACK NUMBER
リオ五輪の銀メダルよりもっと上に!
吉村真晴、卓球武者修行でロシアへ。
text by
武田鼎(Rallys編集部)Kanae Takeda
photograph byKei Ito
posted2017/08/29 11:00
6月の世界選手権では、石川佳純との混合ダブルスで、1969年ミュンヘン大会(長谷川信彦・今野安子組)以来となる歴史的な優勝も果たしている吉村。
日本でプレーしていると、ラリーの能力が育ちにくい!?
研究されたアップダウンサーブに代わる技を探すのも吉村の課題だ。すでにそのヒントも掴んでいるようだ。
「『ラリー力』ですね」
そう明言する。
「僕の卓球はサーブで相手を崩してリターンで取る。それが難しいなら『ラリー力』で打ち合えるようになりたい」
打ち合う力も身につければさらにサーブが光る。サーブ一本槍からの脱却を狙っている。
だが、実はこのラリー力、「日本でプレイしている以上は養われにくい」と吉村は語る。日本人はスピードを特長にしており、台の前でスピードを重視した戦術を取っている選手が多い。ラリー戦に発展しにくいのだ。だが欧米の選手は台から離れて真っ向から打ち合うスタイルなのだ。
ロシアリーグで待ち受ける、世界の猛者たち。
実はラリー力の進化は “体”の進化にも繋がる。
大柄の欧米人相手に真っ向から打ち合うためには強靭な肉体が必要だ。その上、ロシアリーグで待ち受けるのは世界ランキング4位のドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)、同10位のブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)などの“猛者”たちである(ランキングは2017年8月28日現在)。
得られるのは有名選手と戦う経験値だけではない。
どんな戦型でどんな攻め方をするかわからない未知数な選手もたくさん埋もれている。「日本でプレーしている最大の問題点は『身内すぎる』こと。大半の手の内がわかっちゃっているんです」
有名選手ともなれば幼い頃から台を挟んで顔を合わせることも頻繁にある。それでは土壇場の「勝負勘」を育てることは難しい。