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リオ五輪の銀メダルよりもっと上に!
吉村真晴、卓球武者修行でロシアへ。
text by
武田鼎(Rallys編集部)Kanae Takeda
photograph byKei Ito
posted2017/08/29 11:00
6月の世界選手権では、石川佳純との混合ダブルスで、1969年ミュンヘン大会(長谷川信彦・今野安子組)以来となる歴史的な優勝も果たしている吉村。
わずか2カ月の間に、研究されつくしていた得意技。
吉村の唯一無二の武器である「アップダウンサーブ」が、徹底的に研究され始めていた。
アップダウンサーブとは、同じフォームから上回転と下回転という真逆の球を打ち出すサーブだ。レシーバーの目前まで球の回転が判別不能で「魔球」とさえ言われており、世界の上位ランカーでは吉村しか使い手はいない。
その切り札が「効かなくなってきたんです」と明かす。
それが如実に現れた試合がある。1月に行われた全日本選手権だ。ここで吉村は格下である神巧也相手に6回戦敗退を喫する。
技を研究されているだけではなかった。この試合、神は攻めに攻め攻めまくった。かたや吉村は「気付けば挑まれる立場になっていた。自分が精神的に幼いっていうことに気付かされた」という。
事実、リオ五輪直前の2016年5月には15位だった世界ランキングもズルズルと後退、2017年7月には37位と直近2年では最も落ち込んだ。
心技体を鍛え直す――。
それが今回の挑戦の根底にある。結婚し、子供も生まれたばかりの吉村、1人の「男」として幸福な環境を捨てて単身ロシアへ渡り何をつかむのか。無論、「行ってみないとわからないことだらけ。でも、やるべきことが何かはわかっている」。
吉村が目指す「心技体」の進化とは
吉村は「外国と日本ではメンタル1つとっても違う」と指摘する。
「外国の選手って感情をむき出しにするんです。ボールを踏んづけたり、ラケットを投げたり。決してそれがいいとは思わないけど、日本人の卓球ってすごくクリーン。『戦い』って感じじゃないんです」
求めるのは「ガツガツとした戦い」だ。