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青木宣親にムネリン遺産の追い風!?
「Welcome to Toronto」の第一歩。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/08/09 10:45
今季アストロズでは105試合中70試合の出場で打率.272、2本塁打だった。移籍で出場機会を増やせるか。
「結局、最後までひとことも話さなかった」選手も。
今までにメジャーにやってきた日本人選手の全員がそういう印象を残しているわけではない。他の球団には「あいつとは結局、最後までひとことも話さなかった」と愚痴る元選手の現役コーチもいるぐらいだ。
だから、メジャーリーグの中の少数派である日本人選手は皆、ある意味「先駆者」である。
留学生や駐在員と同じように「先駆者」が印象を悪くすれば、次に来る選手はほぼマイナスからのスタートになる。ドミニカ共和国やプエルトリコ出身選手並みとは言わないまでも、どの球団にも一人は日本人選手がいるような状況にでもならない限り、日本人選手は皆、他の選手たちから注視される存在だ。
「あいつはどんな選手なんだ?」というのは当たり前。「あいつは幾ら貰ってるんだ?」、「どんな性格しているんだ?」、「冗談は通じるのか?」、「どんなものを食べてるんだ?」、「妻や子供はいるのか?」……等々。まるで転校生を迎え入れる在校生のように興味津々だ。
ギボンス監督が口にする“負けず嫌いな川崎”の一面。
選手だけじゃない。メディアやチーム関係者も新しい日本人選手には注目する。
「何度も対戦しているから、簡単に三振しない打者だってのはよく知ってるよ」
とジョン・ギボンス監督は言う。「まさか、カワ(川崎)みたいにノリ・アオキが踊りを披露することを期待してないよね?」と尋ねてみる。
「そうしてくれれば、いいんだけどなぁ!」とギボンス監督が笑う。
真面目な話も、もちろんある。再び、ギボンス監督。
「カワが初めてメジャーに来た時、ある試合の後、もう皆が家に帰ったかなという時間になってもあいつは自分のロッカーの前でユニフォームを着たまま、うなだれていた。『おい、どうしたんだ?』と尋ねたら、『試合に負けた』とひとこと返ってきた。あいつはイニングの合間に踊ったり、軽妙なやり取りでインタビューに答えて有名になったが、俺はあいつのああいうところが好きだった。チームにとって一番大事なのは試合に勝つこと。それをあいつは分っていた。あの夜のことは決して忘れはしない」