オリンピックへの道BACK NUMBER
世界水泳、金メダルなしの危機感。
平井コーチの打開策は“部活”!?
posted2017/08/06 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
ハンガリー・ブダペストで行なわれていた世界水泳選手権が終わり、競泳では、日本は銀4、銅3の計7個(非五輪種目1個を含む)のメダルを獲得した。
リオデジャネイロ五輪の翌年、次のオリンピックへ向けての1年目だ。2020年へのスタートのシーズンでのこの成績を、どう捉えればよいのか。メダルの数で言えば、ロンドン五輪翌年の2013年の世界選手権は金1、銀2、銅3の計6個(非五輪種目1個を含む)。また、リオデジャネイロ五輪は金2、銀2、銅3の計7個だった。
金メダルがなかった分、寂しく見えるかもしれないが、数から言えばそう悪いわけではない。加えてオリンピック、世界選手権を通じて初めての出場だった大橋悠依が200m個人メドレーで銀メダル、200m平泳ぎでは小関也朱篤が銀、渡辺一平が銅と、世界選手権で初めてのメダルを獲得といった収穫もあった。
「記録が伸び悩んで危機感を感じています」
ただし、首脳陣の危機感は強い。それを端的に表しているのは、平井伯昌ヘッドコーチの言葉だ。
「2011年以来の金メダルなし、若手の台頭はありましたが、オリンピアン、メダリストの記録が伸び悩んで危機感を感じています」
打開策として語った言葉が興味深い。
「チームジャパンとして戦う方がいいのではないか。お互いに助け合っていく、東京のときは国別対抗だという意識をもってやっていきたいと思います」
帰国後にも、秋以降に合宿を重ねるなどして代表チームでの活動の割合を高めたいという趣旨の話をしているが、「国別対抗」という言葉が印象に残った。
もともと競泳は、チーム力を高めることで、個の力を引き出す方向を打ち出してきた。時期としては、1996年のアトランタ五輪で史上最強をうたわれながらメダルなしに終わったあとからだ。