プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「空中戦の巨人」は過去のものに。
広島との本塁打の差は40本以上。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/07/28 08:00
打率3割超、2ケタ本塁打。マギーの成績を見れば打線に不可欠な一方で、長打力では悩ましい一面もある。
「空中戦なら負けない」と豪語した時代は今や昔。
外国人投手3人を登録しなければならず、野手にマギーを使うことで、昨年25本とチーム最多本塁打を放ったギャレットを一軍に登録できなくなった。交流戦明けから超攻撃的布陣として阿部と村田とともに3人を併用し、マギーを2番で起用してきて一定の成果は出ている。ただ、前半戦は阿部とマギーを使うケースが多く、前年にチーム最多の25本塁打を放っていた村田も、ここまで放ったアーチはわずか6本しかない。
チーム本塁打数57本はかろうじてヤクルトの56本を上回っているが、リーグで下から2番目、12球団ではロッテ(42本)、ヤクルトに次ぐ3番目である。
「空中戦なら負けない」とかつての原辰徳監督が豪語した時代が夢のように、今の巨人は本塁打のないチームになっているのである。
なぜ打線にホームランバッターが必要なのかと言えば、厳しい試合、厳しい相手投手に対して本塁打は一発で局面を変えることができるからだ。連打が望めないような好投手でも、1球の失投を仕留めて1点をもぎ取ることができる。
要は厳しい試合ほど、一発の威力が貴重になるのである。
広島相手に3勝13敗、顕著なのが本塁打、長打力の差。
ここにもう1つの数字がある。
3勝13敗――。
巨人の今季、対広島戦の対戦成績である。
この惨憺たる数字の裏側には、様々な理由が考えられる。ただ、その中で顕著なのが効果的な本塁打、長打力の差だった。
今季の両チームの対戦を振り返ると、勝負の分かれ目の多くで、広島は一発の威力で巨人をなぎ倒してきている。
主だったものを挙げてみる。
今季初対戦となった4月11日は6-6の7回に、菊池涼介内野手の2ランなどで3点を奪って勝ち越した。翌12日は合わせて6本塁打の乱打戦だったがB・エルドレッド内野手の2発など4本塁打の広島が9-5で圧勝。13日は1点を追う9回に代打の松山竜平外野手の同点ソロから2本塁打7得点を奪って逆転勝ちした。
その後も5月13日にはエルドレッドの2本塁打などで11-2と圧勝すると、翌14日には1-1と同点の6回に鈴木誠也外野手が勝ち越し2ラン。5月26日からの3連戦も第1戦では菊池が先制2ラン、第2戦はエルドレッドが3-0の3回に追加点のソロ本塁打を放つと第3戦では2点を追う7回に同点2ランを放って、そこから逆転勝ちを収めた。