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攻撃だけでなく球際でも魅了せよ。
風間体制後の川崎、鬼木監督の要求。
posted2017/07/12 07:00
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
川崎フロンターレが好調だ。
第17節でヴィッセル神戸に5-0で完勝すると、ACLの前哨戦とも目された浦和レッズ戦も4-1で圧勝。続くサガン鳥栖戦では、中2日ながら0-2から後半の3得点で逆転勝ち。真夏のタフな3連戦を全勝で飾り、3位に浮上した。
思えば、開幕前の前評判は決して高くはなかった。
クラブを約5シーズン率いてきた風間八宏監督が退任したこと、そしてJリーグ3年連続得点王に輝いた大久保嘉人がFC東京に移籍したこと。それもあって攻撃力のダウンが懸念されていた。しかし今年も「攻撃力の川崎」の看板に偽りはない。
第18節を終えて得点数「33」はリーグ3位。主将を務める小林悠が9得点、ガンバ大阪から移籍してきた阿部浩之が8得点で、得点ランキング2位、3位につける。指揮官が鬼木達になっても、持ち前の破壊力は健在だ。むしろ進化していると言って良いかもしれない。
川崎対策のマンマークが通用しなくなりつつある。
例えば神戸戦や浦和戦は、昨年までの川崎とはひと味もふた味も違う強さを証明した。神戸のネルシーニョ監督、浦和のペトロヴィッチ監督は、中盤におけるキーマンである中村憲剛や大島僚太をマンマーク気味で抑えることでパスワークのリズムを狂わす守り方を採用して臨んできた。
かつての川崎には有効だった対策だが、現在は通用しない。
なぜか。
相手がマンマーク気味で抑えに来たときの打開策を、チーム全体で見出しているからだ。ボールを経由する選手が密着マークされたら、それを逆手にとって動き、そのスペースを周囲がうまく使う。人に引っ張られてエリアを空けるマンマークの弱点を突く作業を、ピッチ上の選手たちがごくスムーズにやってのけるのだ。