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「ヤバい…戦力外が近づいている」阪神1年目に激ヤセ8kg減、脱臼の絶望…元阪神・北條史也が語る“後悔”「僕は大谷翔平にも藤浪晋太郎にも聞けなかった」
posted2024/12/08 11:02
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
NumberWeb
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「感覚的には完璧に当たって、角度もよくて、もう、いったっていう感触だったんですけど、レフトフライやったんです。ガリガリになっていたので、バットを振れていなかったのかな。周りからみたら『こいつ、スイングおっそ』って思われてたかもしれません」
阪神入団直後に激ヤセ…なぜ?
二軍の練習は想像以上に過酷だった。毎日、午前中は練習、午後は試合、そして試合後に特守と特打が待っていた。「特」の字が付くのは全体練習とは別の個人的な練習だからだ。日によってはそのあとにさらに筋力トレーニングを課せられた。
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北條史也はげんなりとした表情を浮かべる。
「1年目、75〜6kgで入団してるんですけど、5月ぐらいですかね、68〜9kgぐらいまで落ちて。練習がしんど過ぎて、ご飯が食べられなかったんです」
1年目のキャンプの二軍スタートが決まったとき、北條は内心、「なんで一軍じゃないの?」とふてくされた。だが、さして有名ではない二軍選手たちのプレーを目の当たりにし、自分がこれから戦わなければならない世界の厳しさを肌で感じたものだ。
「守備練習をしたら捕ってから速いし、バッティングでも、フルスイングしないで、もう、軽くポーンと打って、スタンドにポンポン入ってるし。ファームでもこんなにすごいんやって思いましたね」
まだ1年目だったにもかかわらず北條は知らず知らずのうちに自分の能力の1つに見切りをつけていた。
「ホームランは無理かな、と。そんなバカバカ打って、30本とかは無理だろうなと思っちゃいましたね」
「年俸2000万超え」4年目の飛躍
1年目のファームでの打撃成績は打率.199、ホームランは1本に終わった。2年目は「ヒットを打てたらいいや」と気持ちを切り替え、打率.259、ホームラン2本と上昇傾向を見せる。
「ホームランよりも、しっかりアジャストして、低いライナーを打とうという気持ちになったら、ライト前とかめっちゃ打てるようになりましたね」
3年目はウエイトトレーニングの成果が出て、ホームラン10本と一気に上積みした。この年は1打席ながら一軍デビューも果たしている。