話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
鹿島5連勝をもたらした“臨時CB”。
三竿健斗、全ては中盤で輝くため。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/07/07 08:00
大岩監督から高く評価されている三竿。兄の雄斗とともに常勝・鹿島のワンピースとして実力を育んでいる。
「今は監督が信頼してくれているのを感じられる」
ただ、三竿はセンターバックでのプレーを前向きにとらえている。
「一番は試合に出ることが大事だと考えているので、そこは割り切っています」
そう言えるのは、昨シーズンから今シーズン中盤まで、なかなか試合に出る機会がなかったからだ。東京ヴェルディから鹿島に移籍した昨年はリーグ戦わずか4試合の出場に終わった。今シーズンに入ってもなかなか出番を与えてもらえなかった。
だが、5月31日、石井正忠監督が成績不振で解任されると潮目が変わった。大岩剛新監督になってからは第14節・広島戦でボランチとしてスタメン出場。続く札幌戦、新潟戦もボランチとして先発フル出場を果たした。この柏戦は植田直通の怪我があって、対人プレーの強さと守備能力の高さを評価されてセンターバックに抜擢された。一連の起用を踏まえれば、三竿は大岩監督の目指すサッカーに欠かせない存在になっている。
「今、こうして試合に出れているのは、(大岩)剛さんが評価してくれているからだと思います。前はなかなか試合に出られなくて監督から信頼されていると思っていなかったし、自分のことをどう思っているのか不安に感じていた部分もあった。でも、今は監督が信頼してくれているのを感じられるので自信をもってプレーできています」
自分がボランチで出た時、CBの気持ちが分かる。
大岩監督が就任して以降、鹿島はリーグ戦5連勝を果たした。その中で三竿は好調をキープするチームの象徴になりつつある。植田が復帰するまではおそらくセンターバックとしての起用が濃厚だが、それも今後ボランチとしてプレーする上での肥やしにするという。
「自分の良さは、センターバックの前でドッシリと構えてボールを奪ったり、高さがあるのでセカンドボールを跳ね返したりできること。そういう部分は誰にも負けないですけど、まだまだ成長できると思うんです。今回、センターバックでプレーしていると、ここにボランチにいてほしいと思う時があるんです。それが分かってきたので、自分がボランチで出た時は“今いてほしいところ”にポジショニングできると思います」
どんな状況だろうが、どこのポジションだろうがそれを受け入れて、割り切って戦えるポジティブな性格。それと同時に“一発芸”を披露する明るさもある。センターバックを務めることで、ボランチとしての幅をさらに広げることができれば、大岩監督だけではなくどんな監督にも起用される選手になれるはずだ。