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巨人を悩ます「8番小林誠司」問題。
若手を抜擢できないのも実は……。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2017/06/30 11:50
小技でチームに貢献する場面もある小林。しかし続く打者は9番で投手のため、打線のつながりとしては難しい局面が生まれる。
打率1割台、本塁打0の小林の数字はあまりである。
巨人の8番といえば捕手の小林誠司である。
8番に捕手というのは、多くの球団の定位置でもある。もちろんキャッチャーに一番、求められる資質は守りであり、投手をいかにリードするかだ。ただ、だからと言って、打力が疎かになってもいいという訳ではもちろんない。8番を打つ捕手でも、求められるのは、それこそ“そこそこ”の打力のはずなのだが……。
打率1割7分9厘の本塁打0。6月28日現在の小林の数字はあまりである。
例えばセ・リーグの首位を走る広島では會澤翼が3割を打ち、DeNAの戸柱恭孝も5本塁打と、捕手でもツボにハマれば一発の匂いを放っている。
ただ、いまの小林にはそういう怖さが全くない。
結果が求められる2番打者が若手育成枠では……。
打線の中で8、9番の2人が1割台なら相手投手は楽である。
だとするとさらにそこで7番にも若手を、例えば岡本を使い続けられるのか? 得点力を考えたとき、それも巨人が若手をなかなか登用できない理由の1つなのである。逆にいえば小林がもう少し打てるようになるか、それとも小林に代わる打てる捕手、例えば宇佐美真吾が出てくるか――実は巨人の若手育成のカギは、そこにあるとも言える。
今季の高橋監督は2番で若手を登用してきた。中井大介であり、立岡宗一郎であり、最近では山本泰寛や辻東倫とこの打順が巨人の若手枠になっている。ただいかんせん2番はつなぎとはいえ、結果が求められる打順である。だからやはり若手の育成枠は7番なのである。
あの松井秀喜さんもプロデビューは1993年5月1日のヤクルト戦で「7番・左翼手」だった。そこで松井さんはいきなり二塁打を放って、翌日の試合では高津臣吾からプロ1号を放っている。そうして結果を残して、4番への階段を登っていった。